この頃、よく思うことがあります。

ま、若い頃から聴いているはずなのに、聴き方や感じ方が変わってきたような……。

それは、ジャズに於いて顕著な気がします。

 

若い頃は、ボーカルに関して、少しハスキーな感じや気怠そうな響きを感じてはとても色っぽく思ったものです。

例えば、ロッド・スチュアートやエミルー・ハリス、また、ビリー・ホリデイやマリア・マルダーあたり……。

 

最近は、音の繫がりにも同じ思いを抱くようになりました。

例えば、4小節最後のドシド~、とかミファミ~とか……。

アルトサックスで例えると、上記の音符の羅列のちょうど真ん中のシとファに対してのアプローチ。

これを私が吹くとまったく耳に残らないのですが、真似をしようとしているプロの演奏家のCDをかけてみるとその差は歴然……。

もう、ね。

たまりません。

色っぽくて、艶っぽくて。

 

何年か前、牧山純子さんの『ジャズとエロス』という本を買いました。

エロスという言葉の響きは、ついエッチな方向に思考がシフトしまいがちですが、まったくそういうものではなく……。

音楽に対する真摯な姿勢がうかがわれます。

また、ずいぶん前には、諏訪内晶子さんの『ヴァイオリンと翔る』という本も買いました。

これも、同じく強い思いを感じられる内容だったと記憶しています。

 

ボブ・グリーンの『ボブ・グリーンの父親日記』やロバート・A・ハインラインの『夏への扉』。

それと、白洲正子さんによる『私の百人一首』。

内容は違えど、何か通じるものがあるように感じます。

 

年を追う、ということは、つまりはそういうことなのでしょうかね。

感覚の間口が大きく広がり、今まで見えなかった淡い色彩までが、くっきりとした輪郭を携えて佇んでいる感じ……。

どんなことも単体ではなく、さまざまな物が混じり合って構成されていることに気づきます。

ま、奥行きを感じられるようになってきた、ということかもしれません。

ま、そう思うと、年をとるのは、疲れやすいという…を除けば、そう悪くない気もします。

ホホホ……。

 

とりあえず吹けるように、とアルトサックスに真剣に取り組みはじめて2年が経ちました。

振り返ると早いものです。

『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』の一点張りです。

時間の経過に比例しない上達の速度にもどかしさを感じつつ、アーティキュレーションの練習に励む日々……。

年に何度かあるジャズセッションを発表会と位置づけ、満足度を少しずつ上げていければ、と思っています。

ま、ね。

なかなかですけども……。

先日のアルトサックスのレッスンで、ジャズの師匠のCDを買ったことを話すと、是非聴いてみたい! とのことでした。

早速コピーをして、次回のレッスンの時に先生に差し上げようと思います。

今のお気に入りのひとつです。