どぅんくんが勧められた本~冲方 丁「天地明察」~ | 生き抜く哲学を身につけよ!晴耕雨読のどぅんくん! 

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311は深く心に大きな印を付けました。自分や家族、愛する人達を守るに自らが立ち上がるしかありません。歴史に学び、自然現象に感応し、危機に対する自分の感性を磨いて行く。これからの世の中は福沢諭吉がキーワード。自立自尊を、国に頼らず国を助ける精神を。

このブログとんでもなく昔の本しか紹介しないじゃないか!と言われている訳
ではなりませんが、最近読んで面白かったなという本を紹介します。
ちなみにこの本は義理の父が我が家に夜中来た際、ボンと置いてったものです。

この天地明察は昨年2009年度書店大賞を受賞された本のようです。

ちなみに僕は書店大賞なるものがどのような賞かは存じ上げませんが

この本も父から貸して頂いて一気に読んでしまいました。


中身は江戸時代四代将軍徳川家綱の時代に囲碁の技術(碁方)をもって徳川に仕えた

渋川春海の生涯を描いた小説です。

この渋川春海さんは日本において西洋でいう所のグレゴリオ歴(現在使用されている歴にほぼ匹敵する誤差)を日本に導入した異才です。

でもどちらかといえば名門に生まれたお坊ちゃんであり、当初は自分のやりたいこと

もやりがいも見いだせず、自分の立場に悶々している現代の若者に通じる部分が

あります。その春海の唯一の趣味が当時の数学(和算学)であり、純粋に数学に

ひかれる打算のない態度が時の幕府の要人の目にとまり、歴の改定作業に携わる事になります。

一旦は当時最先端であった中国の授時歴を信奉し、当時の暦の間違いを次々と

指摘したのですが、授時歴に基づいて試算された日食の日時が外れたことでその

評価を大きく損ないました。

実はその原因は中国と日本の緯度の違いから来ていたのですが、まだ当時は

そのことに気が付いている人物はほとんどいなかったようです。小説では

関孝和(この人が世界に先駆けて多変数の方程式を解したと言われています。)が既にその理論上の間違いを見抜いていた事になっていますが、史実のほどは

分かりません。そして春海はそこから挫折をばねに自らの信念を確立し、授時歴

の間違いを修正し、日本独自の暦法「大和歴」を打ち立てるわけです。

ある意味一つの事に執着する趣味人が最終的には世の中を変えていく。その為には単純な好き嫌いの判断だけでなく、世渡りの術を身につけて成功する、まさに

現代にも通じるサクセスストーリーではないでしょうか?

若干、数学や天文学云々の表現もありますが、素朴で純粋な一個人の成功伝

を是非ご一読下さい。

天地明察/冲方 丁
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