長らく全国断トツのNO.1であったバイゴンはある出来事によって一挙にシェアを落とすことになる。1996年、この合弁企業と出資元サリムグループの折り合いが悪くなり、かつ、サリムグループが実質的に大部分の工場支配していたため生産がストップ、バイゴンは生産能力が急減してしまったのだ。このバイゴンの抱えた供給問題はフマキラーにとって想定外のチャンスをもたらした。当時フマキラーには十分な生産能力があったので、大半が輸出向けだったものを国内に振り向け、バイゴンが供給を停止したジャワ島以外の市場で一挙に浸透を図ったものである。その結果、現在ではフマキラーのジャワ島以外の島々の市場シェアは少なくとも4割超に達したと推定される。線香の3番手はキングコングである。4番手メーカーはティガローダ。競合メーカーには二つの側面があります。コンペティターという側面と、共に市場を拡大していくパートナーという側面。しかしこのメーカーだけは許せないですね。
フマキラー・インドネシアの製品開発における基本方針は①当地の強い蚊に対する対応、②当地競合製品に負けない効力③現地物価・購買力に合わせる商品設計、④HUTでの最終確認と総合製品力評価を行なった後に市場導入である。まず、あらゆる製品開発の基本となるのが各害虫類の生態をつまびらかにすることである。フマキラー・インドネシアでは完全に管理された環境下で蚊やゴキブリの生育・繁殖を行い、その生命力を検証しながら各薬剤の効果を検証し続けている。最新の商品はワンプッシュベープである。一部屋にワンプッシュで10時間効力が持続する。ワンプッシュという商品はいまだかつてありませんでしたから。なので一度使ってもらえればわかる。朝になると床にいっぱい蚊が死んでいるのを見ることが出来ますから。ただ、まだまだトライアルは少ない。これをもっともっとあげていかなきゃならない。
販売チャンネルとメーカーの関係においては、カンフールの交渉力が際立って大きい。新規出店や他のスーパーを買収するなど、ジャボタベックに約40店舗、全土で80店舗超えを有する。進出すると、必ずその地域一番店になる。競合にマクロというハイパーがあったが、会員制であること、購入単位が個人には大きすぎたこと、店舗内が暗いなどの理由からカンフールに客を奪われた。その後マクロは2009年に韓国のロッテグループによって買収され、2010年にはロッテマートと名称変更、店内にも明るさと清潔さが増し、売上は伸びている。カンフールは当地の消費者ニーズをほぼすべて満たす存在である。品揃え、価格の安さ、店舗施設の広さ・明るさ、何をとっても圧倒的ナンバーワンである。それゆえに、メーカーには非常に強い交渉力を行使している。例えばメーカー側が要求される固定的販促費は卸値の10%台から20%台におよび、かつて日本の製薬会社は50%を要求されたこともあったという。このような事情から、フマキラーは2年前に一度、あまりの販促費の高さにカンフールとの取引を停止した。ただ、その半年後カンフールの商品本部長が交代になったのを機に再度交渉し、現在は納入しているという。フマキラーの場合、山下社長の説明によれば、トラディショナルマーケットよりも下のグロシール、セミグロシール、ワルン、トコでは、売れ筋商品か否か市場へのアプローチは異なるという。まず売れ筋商品の場合、ディストリビューターを経てその商品を、グロシールやセミグロシールに取り扱ってもらうだけで、その地区のすべてのワルンやトコに「自動的」商品が流れていく。ワルンやトコでは店舗面積が極小のため、商品1カテゴリーにつき最も売れ筋の1~2商品しか扱えない。よって商店主は売れ筋商品しか仕入れないからだ。フマキラーの場合、線香はジャワ島以外の市場ではこのグロシール・セミグロシールに入れるだけで自然にワルン・トコまで商品が流れていく。一方、売れ筋でない商品を普及させるためには、全く逆方向のアプローチをとるという。すなわち、ワルンやトコを一軒一軒回り、直接商品を売り込んで歩く。時間もお金もかかる。だがもしもそこで無料配布や少数で現金仕入れされた商品が良く売れれば、ワルンの中にはグロシールやセミグロシールに行ってその商品を指名買いする者をああらわれてくる。このようにじわじわとしたから浸透させていくのである。フマキラーのジャワ市場でのポジションはまさにここである。
推奨販売員254名の計362名の陣容である。マーケティングの原則の一つに「加重取扱店率70%以上」が成功の条件というものがあります。この70%を確保しようとすると、110万軒以上をカバーしなければならないら。これは到底不可能。そこで県を絞り、さらに県の中の特定の郡を絞り、それら特定郡の中で7割のストアガバッレジを確実に実現していこう、ということです。つまり、まず一つの郡で一番になろう。この郡で一番になったら、次の郡に移ろう、ということです。10年はかかりますからね、もっとかかるかもしれません。性能的に圧倒的な差があれば別ですが、この商品ではこれが必要です。同社の工場の直接部門は契約社員で構成され、派遣会社に依頼する。2006年には実業率が10%を超えており、人数と時期を伝えれば、ほぼいつでも何人でも人は集まった。だが近年は実業率も徐々に低下傾向にあり、労賃年10%ほど上昇しており、採用に時間がかかる地区も出てきている。一方、R&D、マーケティング、総務、経理、人事といったスタッフは新聞広告やインターネットで募集される。採用条件は厳しく、大卒な場合GPAが3.5以上で、それは同国の財閥系企業とほぼ同等の条件である。
物価が安いということは、商品一つが生み出す利益がきわめて小さいということです。なよで、インドネシアという規模の大きさ市場で大量生し、原価を下げ、大量に売って、利益を少しでも大きくすることが不可欠です。また、粗理が35%程度なければ製造販売ビジネスは成り立たないと一般に言われます。それらの意味で、東南アジア各国にゼロから進出することは難しい。あの大きなインドでの事業すら、定価の低さに苦しんでいまさ。逆になぜメキシコに輸出しているかといえば、それは物価が高いから。
ワンプッシュのような「インドネシアで初めて」という新しいコンセプトの製品を出して新たな市場を創っていくことが大事だと思っています。10年後には間違いなく日本よりもインドネシアの方が売上も利益も大きくなっているでしょう。またそうなっていないと、生き残れないでしょう。