心臓精密検査の結果、全身麻酔をともなう手術が可能であるという太鼓判を、心臓専門病院の名誉院長から貰った。その結果はすぐに、乳がんの手術をする大病院の主治医にも伝わっているはずだ。あとは入院日についての、大病院からの連絡を待つのみとなった。

 

 一旦私は、いつも通りの日常に戻った。人生で一番、当たり前のこと(朝、自然と目覚めること、いつもの通勤電車や、通勤中に聴くプレイリスト、アサインされたプロジェクトや残業、毎日顔を合わす同僚、筋トレやヨガの定番メニューなど)を大切に扱い、一瞬一瞬を、丁寧に生きた期間だった。

 

 常に2つのことが、頭の片隅にあった。

 手術に100%の安全はないこと。無事手術が終わっても、当たり前の日々が続く確証はないこと。

 

 PET-MRI検査で、転移はないとの結果が出ていたが、手術中のセンチネルリンパ節生検で、もしリンパ節への転移が見つかれば、リンパ節郭清を行う。リンパ節郭清を行うと、リンパ浮腫が出たり、運動にも制限がかかる。

 

 入院までの日々は、毎日仕事をしながら、友達とランチに行ったり、甥っ子の誕生日を祝ったりした。

 

 入院中の運動不足に備えた貯筋のため、これまで以上に筋トレに力を注ぎ、毎回筋肉痛になった。手術後、筋トレやヨガができなくなるかもしれない、という不安もあった。

 

 ヨガに集中しているとき、私は来年、この場所へ戻って来ることができるのかどうかと考え、涙が出ることもあった。得意の半月のポーズや、大好きなロイヤルピジョンが、果たして手術後もできるのだろうか。

 

 新型コロナ対策として、スタジオでの運動中もマスク着用必須だったため、思いっきり泣いてもバレないのは助かった。汗を拭くふりをして、涙と鼻水を拭った。

 

 主治医の先生は、筋トレができなくなることを、私が何よりも拒んでいることを知っていた。お腹や背中の筋肉を切ると、運動に制限がかかることは、乳房再建をしない選択をした1番の決め手だった。

 

 この頃から手術の日まで、プレイリストで最初に聴くのは、ミスチルの『永遠』だった。

 

「空に残された白い飛行機雲 ふと自分が重なる

 凄いスピードで逝ってしまう君に 必死で追い縋る」

 

「時は行き過ぎる そこになんらかの意味を人は見出そうとするけど

 冗談が過ぎる たとえ神様であっても 死ぬまで許さない」

 

☆noteでも書いています↓