Ciao! Ca'mia cucinaのまかない担当 目黒です。
今日はちょっと理屈っぽい話が中心になります。
最後に、中華、洋食のクオリティアップに役立ち、かつ比較的簡単にとれる鶏出汁の取り方をご紹介していますので、むつかしい話に興味がないかたはそちらまで飛ばしてみてください。
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皆さん出汁とってますか?
出汁って色々ありますよね。まず日本人がイメージするのはカツオと昆布の一番出汁。
シイタケなどのキノコでだしをとる場合もあるでしょうし、アゴ出汁などの魚から取る出汁ももちろんあります。
中華にも出汁というのはあって、湯(タン)という文化があります。
白濁の白湯や、透き通った黄金の清湯などが代表です。
他にも中華では海老や貝類、特にホタテの出汁をとったりということをします。
もちろんヨーロッパにも出汁はあって、皆さんご存知はブイヨンやフォン・ド・ヴォーですかね。
フランスではブイヨン、イタリアではブロードなどと呼ばれます。
技巧を凝らしつくしたフレンチの世界にいたっては、あまりに出汁が細分化されすぎていて、出汁のとりかただけで本が一冊できるほど。。。
この柴田書店のソースは全225点のアイテムを掲載していますが、出汁だけで実に40種類を超える出汁が掲載されています。
世界中の食の求道者が、それほどまでに出汁にこだわるのは、やはりその出汁自体が料理の完成度をひとつもふたつも上げることを知っているからでしょう。
古来から味の分解は、甘味、酸味、苦味、塩味と言われてきましたが、これに5番目の旨味が加わってくるのが近年常識になってきました。
(最近は脂味という第6の味を提唱する場合もあります『脂肪酸は6番目の基本味、証拠となる神経を九州大学が発見』 )
グルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸なんて名前は何となく聞いたことがある人もいると思いますが、これが旨味成分の一種です。
出汁はこの旨味成分を食材から抽出し、ダイレクトに料理に付与する力を持ちます。
旨味のほかにも香りも付加することができるので、よい香りをプラスすることもできますし、逆にネギや生姜などのように臭みをマイナスする効果ももたらします。
基本味の一種ということなので、皆さんが料理をしていて「塩味が足りないからもうちょっと醤油足そうかな。。。」と思うように、「うーん、イノシン酸が足りないから鶏出汁足そうかな」なんてところまで味覚の分解ができるといいのですが、残念ながら小さいころからそういう教育を受けていない我々にはそこまでの分析はできないわけでして。。。
そうなってくると昔ながらの組み合わせで料理をするか、数字で解剖するしかなくなってくるわけですね。
昔ながらの組み合わせといえば、先にも出た1番だし(昆布、カツオ)や中華出汁(鶏、ネギ、白菜)、ブイヨン(肉、ニンジン、タマネギ、セルリー)あたりですね。
数字で解剖するという話になると、またややこしい話ですが以下のようなサイトが参考になるかと思います。
『うま味倍増!イノシン酸・グルタミン酸・グアニル酸の相乗効果と食材』
ここまでまとまって詳細を出してくれるサイトはなかなかないので、参考になります。
私の中で発見だったのは、昆布とワカメってそんなに変わらないと思ってたんですが、旨味に関しては天と地ほども差があるのか。。。とか、動物性のイノシン酸グループだと思ってた貝類が意外と植物性のグルタミン酸グループだったのか。。。とか、中国にお茶で肉を煮込む料理あったけど的を射ているんだなぁとか、発見がありました。
そんなこんなで、皆さん面倒ですけど頑張って出汁をとってください!
というしめくくりにするわけにもいかないので、本日は出汁の中でも比較的簡単にとれて、中華、洋食のクオリティを格段にアップさせる出汁の取り方をご紹介したいと思います
材料
■材料 約5L分
・丸鶏(頭と内臓を取り除いた鶏) 小さいもの1羽(1,500gくらい目安)
※丸鶏が手に入らない場合は、鶏ガラと手羽などの組み合わせでも可。
※量を少なく作る場合は、骨のついた部位を入れるようにし、適宜分量を調整してください。手羽や骨付きもも肉とかがオススメです。
■Point!
・調理前にしっかり腹腔や表面を洗い、内臓の残りや羽などはできるだけ取り除く
・灰汁と脂は取り除いて取っておいてください
・中華や洋食のどちらにでも合わせられるよう香味野菜は入れていません。中華にするときはネギや白菜を、洋風にする場合はミルポワを入れてください。
こちらもみてね⇒煮込み料理を本格料理に ミルポワ(ソフリット)の作り方
灰汁とり
大きい鍋に丸鶏が水につかるまでたっぷりの水を入れて強火でお湯を沸かします。
お湯が沸いたら、灰汁が出てくるので10分ほど灰汁をとります。(捨てずにとっておく)
灰汁が出なくなったらフタをし、弱火にして6時間置きます。
1時間ごとくらいに様子を見て、鶏が水面から出そうになっていたらお湯を足してください。
濾す
表面の脂を取り除きます(捨てずにとっておく)
ザルに晒を敷くか、漉し器を使って濾して、出来上がり。
完成
白湯、というほど濃くはないですが蓋をして高温で煮込むことで白濁したスープになります。弱火でもフタをすることで高温をキープすることができます。
目安5L~6Lくらいは取れるので、もし5Lに満たないようでしたら水を足して調整してください。もちろんさらに煮詰めて濃くして使ってもよいです。
再沸騰させて粗熱をとって冷蔵、もしくは冷凍して保存してください。
冷蔵保存、もしくは冷凍したものを解凍した場合、一週間以内で消費することをお勧めします。
なので、一週間で1Lくらい使う人は1L単位。そうでない人は200ml単位での保存がオススメです。
おまけ(鶏脂の取り方)
取り除いておいた灰汁と脂ですが、これを茶漉しくらいの粗さのメッシュに通してあげると、水分+脂と灰汁に分けることができます。
さらに水+脂を冷蔵すると、脂のみ固形になるので、水を捨ててあげると純度の高い鶏脂になります。
一般的に鶏脂はフライパン等で皮や脂身を炒めて抽出することが多いのですが、これは100℃での加熱なので比較的酸化されない状態で抽出が可能となるので、おススメです。
さらに残った鶏ガラから皮をはいで鶏脂をとることもできるのですが、それは別のタイミングでご紹介しますね。
鶏脂はチャーハンや野菜炒めに使うととても美味なので、ぜひ皆さん取った脂は捨てずに活用してみてください
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