みなさん、こんにちは!
CyberSSにてデザインを担当している佐藤宜也(ヨシナリ)と申します。
日々の業務として、インターネット広告メディアを創っているのですが、その上で最重要としている「One to Oneマーケティング」と、それを実現する為のデザイン思考に関して今回は書きたいと思います。

One to Oneマーケティングとは?

"One to Oneマーケティング"とは、いわゆるビッグデータを活用して、ユーザーの年齢や性別はもちろん、趣味趣向や購買・行動履歴や現在地。もっといくと交友関係や生活パターンまで!!そんな1人ひとりの個人に合わせて展開していくマーケティング手法のことです。

今までの広く漠然とした訴求ではなく、個人レベルに合わせてその個人にベストなタイミングで具体的な内容の訴求を行なうことができるので、今まで以上にユーザーの心をグググググッッとつかむことができます。

例えば、「冬用セーターを探している20代の独身男性」に対して、その需要をしっかりキャッチアップした「20代独身男性に人気の冬用セーター」を提案できるわけです。
このコミュニケーションがしっかりと合致すれば、「欲しいと思っている人に欲しいものを紹介できる」ことになるので、結論、より高いレスポンスが期待できます。

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このような、しっかり対面接客している実店舗で行っているようなコミュニケーションが、今ではインターネット上でも加速的に拡がっています。
そしてこの仕組みを利用して、より効果的な広告クリエイティブを創っていくということは、広告業界のクリエイターとして目指すべき「コミュニケーションデザインの最たるもの」と僕は考えています。

広告から個告へ。10万人のユーザーに対して10万通りのデザイン

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上記のイメージで示すような"思想"が、One to Oneマーケティングの目指すところです。
ひとつのクリエイティブで10万人の心を捉えようとするのではなく、10万人それぞれに響く言葉とビジュアルで心を捉えよう!ということです。
とはいえ、この言葉どおり10万通りのデザインを普通に創るとしたら、まぁ普通に考えて無理です 笑
ですが、その理想的な状態に少しでも近づくために、僕らは以下のような手法でデザインをしています。

検索キーワードを読み取る

僕らが運用しているサイトへの集客の軸はリスティング広告(検索連動型広告)です。
リスティング広告についてはここでは割愛させていただきますが、「検索キーワードによってurlを設定できる」という機能というか仕組みがあるので、キーワードに対してそれぞれ個別のページを用意できます。
つまり、検索キーワードに対してそれぞれ個別のデザイン設計をすることが可能なので、その検索ユーザー需要に対して、よりベストエフォーなページを用意することができるのです。

例えば、先ほどの「セーター」と検索したユーザーがいたとします。そのユーザーに対しては、当然「セーター」の商品が満載のサイトを見せてあげることが望ましいです。
さらに具体的に「”赤い”セーター」と検索するユーザーがいたとします。
そのユーザーに対しても、先ほどと同じ「セーター」のページを用意することは間違ってはいませんが、「赤いセーター」があるページを見せることができた方が、コミュニケーションはより高次元で成立するはずです。

1枚絵のキービジュアルを要素分解

それでは、上記のようなコミュニケーションを効率的に成立させるためにはどうすればよいのか。
その一つの手法がキービジュアルの要素分解です。

ユーザーの瞬間的な印象を左右するキービジュアルは、ファーストビュー内の要素の中でも特に重要で、どんなに素晴らしいコンテンツがあるサイトだとしても、キービジュアルの印象が悪ければ、せっかく来訪してくれたユーザーはすぐに離脱してしまう可能性が高いです。
有名な3秒ルールの名が示す通り、ユーザーの心を掴むのは3秒(もしくはそれ以下)です。
従って、キービジュアルでユーザーコミュニケーションを成立させることは大前提となります。
サイトイメージに合うビジュアルを創ることはもちろんですが、さらにコミュニケーションを高めるために、構成要素を分解して設計します。

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これら分解した要素ごとにパーツを用意するわけですが、そのパターンを検索キーワード分用意していきます。
例えば、パーツを3つにわけ、キーワード数を20として、その全てをユニークなものにした場合、その組み合わせは、
20x20x20=8000通りのKVを用意することができます。

大きなデザインの違いは正直無いです。
「パーツの一部が変わっただけのもので、成果に大きな違いがあるとは思えない」と感じる方も多いとは思いますが、それは制作側の目線で考えているからであって、ユーザー側はそのキービジュアルを見比べているわけではなく、それが唯一のビジュアルということになります。
結果、そのキーワードに合わせて変更した言葉やパーツが、ユーザーに対して有益な訴求として目に映り、ユーザーの興味をひくキービジュアルになるというわけです。

ビジュアルは言葉よりも早く大脳に届く

ビジュアルによる訴求は言葉よりも早く深く大脳にアプローチできるという脳科学の話もあり、ビジュアルの精度を上げることで、ユーザーへの訴求力はより高くなるはずです。
たとえ、意識的にユーザーに気づかれない小さなアイコンや何気なく目に映っている背景色だとしても、無意識化に影響しているはずで、その無意識な領域に直接訴求できるのは言葉よりもイメージであり、それがデザインの力です。

だからこそ、One to Oneマーケティングを成功させる為の最適なデザイン思考がこれからどんどん必要なってくると思います。
ダイレクトマーケティングが主流となることで、広告から個告へと概念が移っている広告業界。そこに身を置いている僕らクリエイターにとって、このような思考は身につけておくべき重要なデザインスキルであると感じています。

さいごに

僕たちは、このような概念のもと、ユーザーとのより高度なコミュニケーションの実現を目指して日々の業務を行っています。
それこそ地道なPDCAの繰り返しとなりますが、その精度を少しずつ少しずつ上げていくことで、ユーザーにとって本当に利用価値のあるサイトを作りあげていくことが最終的な目標です。


以上、最後まで読んでいただき、まことにありがとうございます!!!