はじめまして!アメーバゲーム部門でデザイナーをしている筒井豊です。
スマートフォン向けゲーム「天下統一クロニクル」の開発・運用を担当しています。

現在3月25日から始まる新イベント「天下統一戦」の開発に関わっているのですが、
イベント開発の流れを追いながらデザイナーの作業の進め方や、意識していたこと等をご紹介したいと思います。

新イベント「天下統一戦」とは?

「天下統一クロニクル(http://tnk47.ameba.jp)」はご当地の偉人や名物を擬人化したカードを集め、県の仲間と力を合わせながら日本一を目指すゲームです。

ゲームの基本システムに毎週日本一の県が決まる「合戦」があるのですが、そこにフィーチャーしてしっかり盛り上げるイベントを作ろうという目的で2013年10月に構想がスタート。2014年2月公開に向けて動き始めました。



スケジュールの決定と共有方法

開発にあたり、下記の構成で開発チームが組まれました。
運用とは別にチームを作ることで開発に集中することが目的です。
・プランナー 1名
・デザイナー 1名(私)
・フロントエンドエンジニア 3名
・エンジニア 4名

目標の公開日が決まると、そこから逆算してリリース日や基本ループ完成予定日等のマイルストーンを引きます。その後プランナーが作った作成ページ一覧をベースに、作業を細分化していき、それぞれの優先順位を決めていきます。

デザイン側のスケジュールはフロントエンド側に「早く完成していると開発がスムーズになる項目を確認後、各項目毎にデザイン期限を決めていきました。
(基本的には「新しい技術の検証が必要」「ゲーム内の別ページを使いまわせない新規ページ」のように実装に時間がかかるページを優先することが多いです)

仕様や画面一覧、作業進捗、修正項目等はgoogle docsで管理しつつ、「各職種リーダー参加の毎朝の進捗共有」「週一回のプロジェクト全体共有」を行いチーム内で情報を共有していきました。

前半の主な作業(11月後半~12月中旬)

11月後半におおまかな仕様が決まり、いよいよデザイン作業がスタート。

■コンセプト画像の作成
まずイベントのテイストを決めるため、コンセプト画像とロゴを制作。
本来ならイベントの報酬になるキャラをメインで配置していくのですが、
今回は47都道府県が主役になるイベントなので都道府県を代表するキャラを主役に配置しました。

こういった画像が最初にあると、ページやアニメーションの構成を考える際のベースになり、プランナーとの意識合わせにも役立つため非常に便利です。
この画像はイベントを通して様々な場所で使われることになりました。

◇コンセプトイメージ



■ゲームの中心となる戦場ページ
次にイベントの肝になる戦場のページに着手。
現在のゲームの基本となる「合戦」とどのように差をつけるかを話合い、ラフ案をブラッシュアップしながら決定していきました。

この画面は上部のアバターをアニメーションで動かしたかったため、方向性が決まった段階で動作確認等を進めてもらいました。
このように技術検証が必要なページは検証期間や試行錯誤の時間を確保するため、優先してデザインすると開発がスムーズに進みます。

◇戦場デザインの推移



■決まっていない仕様をつめる
大きな箇所だと、戦場内でのバトル方法が決まっていなかったため、アイデアベースでラフを作りながらプランナーと仕様を考えていきました。
当初全く新しいバトルを想定していましたが、操作や仕様が複雑になるとの理由でユーザーが慣れている通常のバトルをベースにすることが決定しました。

運用が始まってからの開発ではプランナーが他のタスクとかけもちしていることも多く
細かい仕様を最初に詰め切るのはなかなか厳しいため、ざっとした仕様で画面を作り、
それを元に仕様を決めていく方がプロジェクトが早く進みやすいです。
(新規開発の方がもちろんこういったケースは多いのですが)

また、仕様が固まっていない前半は作業時間の見通しが立て辛いため、最初に計画した
デザインスケジュールから遅れが発生しやすくなります。
マイルストーンは死守しつつも、フロントエンド側と相談しながら作業の優先順位を
随時調整し、フロントエンドの作業が遅れない状況を維持する必要があります。
今回の開発だと、後で差し替えがきく細かい画像の作成をガンガン後回しにしていきました。

作業中盤(12月下旬~1月)

主要なページが一段落すると、次はメインループ以外のページ作成を進めていきます。
このあたりも実装に入れるレベルで作業をすすめ、時間がかかる細かい画像は後回しです。
このあたりで、後回しにしている画像の多さを実感し始め、愕然としてきます(笑)

この他に、前半で作った基本ループに修正が入ってくるので、実装に影響のありそうなものから
随時修正をしていきます。

作業後半(2月~3月)

UIを一通り作り終えたら後回しにしていた画像系の作成に着手。
画像の他に、イベント情報を少しずつ公開していくティザー関連のお知らせやバナー等も作っていきます。

◇作成した画像の一例

もう一つ後半で大事になるのが、実際にテストして判明することに対しての修正です。
静止画の状態では分からなかった演出の不足や導線の不備等が次々と出てくるため、公開までに対応するもの、4月の二次開発にまわすものに割り振りし対応していきます。
各種の修正、指摘事項を確認するためのMTGも定期的に行われていきました。

今回のケースだと、「隊士召喚」というフィーバーの演出をもっと盛り上げたいという要望がテスト後に発生したため、急遽カットインの前に新規のアニメーションを追加することになりました。

◇隊士召喚カットインと追加アニメーション


開発を通して意識していたこと

このような流れで作業を進め、現在は3/25の公開に向け、ティザー画像や
細かい画像修正等を行っている状況です。
最後にイベント開発をする上でいくつか意識していたことをまとめてみます。


【その1】やってみたい表現を提案する
「リソースがないので前と同じ構成じゃないと…」
「ブラウザなのであまり動きはつけられない…」
このように運用フェーズに入ったゲームではリソースの関係でなかなか思い切ったことができないのですが、せっかくの新規開発なのだから最初は夢を広げましょう。
技術は日々進化しているので、ブラウザの表現の可能性もどんどん広がっています。
また、新規開発では開発スパンが長いこともあり、面白そうなことにはどの職種もノってきてくれます。
そのためにも、普段から他のゲーム等にふれて面白い表現をストックしておくことが大事です。


【その2】デザイナーも考える
デザイン面はもちろん、ゲームの仕様も積極的に考えて自分の意見を言っていきましょう。
仕様が決まるのを待って言われた通りのものを作るのではなく、ベストな表現を目指して常に考えて提案することでプランナーも楽になりますし、スピードもあがります。そして何より楽しいです。


【その3】開発の手を止めないデザイン作成
新規ならではの修正や作り直し、予定していなかった新規要素の作成が発生したり、運用タスクのヘルプや差し込み等も多々あります。
自分の作業スピードを見極めた上で作業のバッファをしっかりとり、多少の差し込みがあっても
こなしていける状態を維持する必要があります。
どうしても間に合わない場合は早めにチーム内で共有し、優先順位の低いものは
後に回す等の判断を繰り返して開発の手が止まらないように注意しましょう。
(特に今回のように担当デザイナー1人の場合はデザインがボトルネックになりやすいです)


【番外編】個人の趣味に走らない
広島出身のため、あらゆるページやアニメーションに広島風お好み焼きちゃんを
配置したかったのですが、そこは大人ですからぐっと我慢我慢。

◇たこ焼きやわんこそばもいいけどやっぱり広島風お好み焼きでしょ!


最後に

コホン。
少し話しがそれましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
各地のご当地隊士が活躍する天下統一戦、ご期待いただければと思います。

運用2年目に入った天下統一クロニクルですが、2月後半に「戦神リーグ」、3月月初に「防衛戦」、そして3/25(火)に天下統一戦といった具合に開発も運用も全力で取り組み、日々進化しています。
地元に愛着があるそこのアナタ!ぜひ一度プレイしてみてください!


天下統一クロニクル
http://tnk47.ameba.jp