PM型ステッピングモータは、永久磁石(Permanent Magnet)を用いてステップ駆動を行うモータで、シンプルな構造と扱いやすさから幅広い機器に採用されています。高精度が必要なハイブリッド型に比べると構造が簡素で、コストを抑えつつ一定の位置決めや速度制御を実現しやすい点が魅力です。小型装置や軽負荷用途、コスト重視の自動化機器などで特に活躍します。本稿では、PM型ステッピングモータの基礎と特徴、導入メリットを分かりやすく解説します。

1. PM型ステッピングモータとは(基本構造)

PM型ステッピングモータは、ロータに永久磁石を用い、ステータの励磁を切り替えることで一定角度ずつ回転するモータです。
ロータが磁極を持つため、励磁状態に応じてロータが引き寄せられ、ステップごとに回転します。代表的な構成としては、**カンスタック型(缶積み)**などが知られ、比較的コンパクトで量産性が高い点が特徴です。

2. 特徴①:構造がシンプルで低コストになりやすい

PM型は、ハイブリッド型のような細かな歯構造を持たない(または簡素)ため、部品点数や加工が比較的少なく、コストを抑えやすい傾向があります。
そのため、民生機器から簡易的な産業機器まで、価格と性能のバランスを重視する用途で採用されやすいです。大量生産に向く点も、普及を後押ししています。



3. 特徴②:低速域のトルクが得やすい(用途に合えば強み)

ステッピングモータ全般に言えることですが、PM型も低速域でのトルクを比較的確保しやすく、ゆっくり確実に回す用途に向きます。
例えば、バルブの開閉、簡易搬送、シャッター駆動など、急加速や高速回転よりも「確実な動作」が求められる場面で扱いやすい特性があります。

4. 特徴③:駆動・制御が分かりやすい(パルスで位置決め)

PM型はパルス指令で回転角を決められるため、制御が直感的です。
エンコーダを必須としないオープンループ制御で構成できる場合が多く、コントローラ側もシンプルにできます。装置全体の構成を簡略化できることは、導入コストだけでなく、設計工数の削減にもつながります。

5. メリット①:小型機器や軽負荷の自動化に最適

PM型は比較的小型化しやすく、軽負荷の駆動源として最適です。
紙送り、ラベル送り、簡易ステージ、ディスペンサなど、必要トルクが大きくない機構では、ハイブリッド型ほどの高性能が不要なケースも多く、過剰スペックを避けた選定が可能になります。



6. メリット②:保持トルクで“止める”が得意

ステッピングモータは通電中、停止位置を保持する力(保持トルク)を持ちます。PM型もこの性質を活かし、外力で動かしたくない位置でしっかり止めたい用途に向きます。
機械的なブレーキを追加せずに簡易的な保持ができるため、機構の簡素化や部品点数削減につながります(ただし発熱や消費電力とのバランスは考慮が必要です)。

7. 注意点(選定時に押さえるべきこと)

PM型は便利ですが、用途によっては限界もあります。

高速域のトルクは低下しやすい

ハイブリッド型ほどの高分解能・高精度には向かない場合がある

過負荷や急加速条件では脱調リスクがある(オープンループの場合)
そのため、必要な回転数レンジ、トルク余裕、加減速条件を整理し、無理のない仕様にすることが重要です。

まとめ

PM型ステッピングモータは、永久磁石を用いたシンプルな構造により、低コストで扱いやすいステッピングモータとして広く利用されています。パルス指令による分かりやすい制御、小型化しやすい点、低速域での安定した駆動や保持トルクなどが主なメリットです。一方で、高速域や高精度が必要な用途ではハイブリッド型やクローズドループ方式が適する場合もあります。用途の要求(速度・トルク・精度・コスト)を整理し、適材適所で選定することが成功の鍵となります。