うちの彼氏は脳腫瘍46 | 【男×男】理想はStressFree【2005年~】

【男×男】理想はStressFree【2005年~】

アラフィフゲイの日常。

2005年からの付き合いになる彼氏のことや彼氏の脳腫瘍のこと、仕事のこと、飼っている猫のことなどを、徒然なるままに書き連ねています。

現在彼氏とは戸建てにて同居中。東京から地方へ転居してきたので、周りは高齢者と田んぼばかりです。

30分以上続いた検査&診察で、細野医師が言うべきことを言い終わったのを見計らい、私は質問したいことがあると切り出した。

 

「あの、すみません……。

ちょっとお尋ねしたいことがあるのですが。」

 

細野医師

「何ですか?」

 

はいなんでしょう?という感じで、でもやはり淡々と細野医師は応えた。

 

「『自家がんワクチン』を検討しているのですが、細野先生の見解を伺えないでしょうか。有効性とか……。」

 

細野医師

「『自家がんワクチン』……。どこでやるんですか?」

 

「あ、いえ、まだ特にどこの病院でとかは決めていなくて、お話を伺ってからやるかどうかを判断し、やるのであれば話を進めていこうと思っているのですが……。」

 

自家がんワクチンは、提供元と提携している病院であればどこでも受けられるので、どこかの病院と話を進めているのかどうかを、おそらく細野医師は確認しようとしたのだろう。それを尋ねられたので、私はまだそこまで話を進めていない旨を回答した。

 

細野医師

「あー、そうですか。

淡々さが売りの細野医師であるが、今まででも一番の淡々さで次のように言うのであった。」

 

細野医師

「基本的には保険で認められた標準的な治療法ではないですから、勧めるってことはないですよね。」

 

保険で認められた標準的な治療法、というのは健康保険適応の治療法(自己負担額が1~3割になる治療法)のことを言うが、自費治療であるということは保険でその有効性が認められていないか、疑問視されている治療法を多く含むからだろう。そういう言い方を細野医師はしてきた。

 

細野医師

「やりたい人を無理に止めることはしませんけど。」

 

と前置きをして、細野医師は説明を続けた。

 

細野医師

「例えば、コロナのワクチンとか飲み薬とかありますけど、どんな治療方法も「治験」と言って、患者さんにきちんと説明した上で何百人とかで調べてデータを取った上で有効であるかを調べて、同時に副作用も調べて、その上で世の中に出てきているわけですよね。それが日本だけではなくどこの国でも正当な治療方法や薬の正式な手順になるわけです。その上で有効か無効か、それから安全性を確認しています。

現段階では『自家がんワクチン』はそういったのを全く踏んでいない治療法だと思うんですよね。現段階では。

ですから、私としては有効性もわかりませんし、副作用もわかりません。

したがって、勧めることはできないですね。

これは私の意見です。」

 

「はい。」

 

細野医師

「確かに私の受け持ちの患者さんでやった人は、ぱっと思いつく人で一人いますけどね。

ただ、その方は当然ですけど抗がん剤治療とか放射線治療とかも保険診療でやってますから、何が効いたのかわかんないんですね。

『自家がんワクチン』だけ、やってるわけではないので、何が効果があったかはわからないんですね。

それに、私費用がどれくらいかかってるのか一切知らないですし。

そういう意味で私が勧めることは一切ないです。」

 

「はい。わかりました。」

 

細野医師

「他には?」

 

細野医師の淡々とした中に冷たい響きがきつく診察室内に駆け回った後、他には質問はないか、と言われた私たち。
ちなみに私は思いの外に厳しい言い方に

 

もうこれ以上何も聞くまい……

。゚(゚´Д`゚)゚。

 

となっていた私なのだが、そこに勇者が現れた。

 

アラ父である。

 

アラ父

「あのー、先生。

あの、もしね。もしやっぱりやるとなったら、『自家がんワクチン』に必要な摘出したがん細胞は提供してもらえるんでしょうか。」

 

自家がんワクチンは、摘出した本人のがん細胞をもとにワクチンを作るので、手術で摘出した腫瘍の一部を病院から譲ってもらう必要がある。
その説明を覚えていたアラ父は、そのことを細野医師に訪ねたのだった。

 

 

……いや、あのね。

 

すげー胆力

 

って思ったwww

 

あの凍える診察室の中で、細野医師が魔王のように立ちはだかる診察室の中で、さらに「自家がんワクチン」について掘り下げられるなんて、すげー勇者だな、って思ったのだった。

 

細野医師

「あー、まあできなくはないですね(苦笑)。

……できなくはないです。

どうしてもやりたいというのであれば、止めはしないので。

提供するのもやぶさかではない、というかそういう感じですね。」

 

アラ父

「わかりました。

……ちょっと、考えてみて良いですか。」

 

細野医師

「どうぞ。はい、どうぞっw

止めることはできないですからね。

いきたいっていう患者さんを、止めることは出来ませんからね。」

 

アラ父の発言に、「まあしょうがないよね。そういう希望がちらついたら考えちゃうよね。」的苦笑を浮かべながら、笑顔でそう言ってくれた細野医師。

 

細野医師

「三谷先生にも意見を訊いてみたらいいんじゃないですかね。」

 

「はい。そうします。」

 

そうして、細野医師の診察は終わったのであった。

 

う~ん、想像以上に自費治療否定派な意見を食らったなぁ、と胆力が削られた私なのであった。
※なお、細野医師の意見は私たちの診察当時の情報に基づいた意見であり、それが現在でも通じるかは分かりません。
※「自家がんワクチン」の実施例は着実に増えているようなので、そのデータが反映された情報はみなさんご自身で収集したり、担当医にお尋ねになって下さい。

 

↓に続きます♪