会社の営業部門が、取引先に商品を納入しているとします。
それぞれの商品の数量は需要によって変動し、
価格は材料市況や、双方の交渉によって変動します。
価格×数量=金額 で、金額も変動します。
1年前の売上金額と、現在の売上金額を比べて、例えば120%に
増えた場合、100種類もあると、単純に
『価格が上がったせいだ』 『数量が増えたせいだ』
と、どちらかに断定することはできません。
では、「価格影響がいくらで、数量の影響がいくら」
と、定量的に計算することはできるでしょうか。
商品別に、価格、数量のデータがあれば、計算できます。
話を簡単にするために、
1つの商品だけで考えてみます。
2021年2月、価格は2円、数量は2個、金額は2×2=4円。
2022年2月、価格は3円、数量は3個、金額は3×3=9円。
前年同月との差は、価格が+1円、数量が+1個、金額は9-4=+5円です。
+5円を、要因別に仕分けするには、次のように計算します。
・価格の影響=価格差×数量が小さい方=+1円×2個=+2円。
・数量の影響=数量差×価格が小さい方=+1個×2円=+2円。
・価格と数量の相乗効果=価格差×数量差=+1円×+1個=+1円。
これで、+5円の内訳を計算できましたが、
さて、どんな変動パターンでも万能なのでしょうか。
あらゆる組み合わせに対応するためには、条件分岐が
必要になります。
Excelで、実績データをB~Jのセルに入れてあるとします。
影響を求める数式は、次のようになります。
・価格の影響=D3*MIN(E3,F3)
価格差×数量が小さい方。
・数量の影響=IF(OR(E3=0,F3=0),J3,G3*MIN(B3,C3))
もし前年または今年の数量がゼロなら、金額差の全てを
「数量の影響」とします。
そうでない場合、数量差×価格が小さい方。
・相乗効果=IF(OR(E3=0,F3=0,AND(B3<C3,E3>F3),
AND(B3>C3,E3<F3)),0,D3*ABS(G3))
もし「前年数量がゼロ」または「今年数量がゼロ」
または「価格増加・数量減少」または 「価格減少・数量増加」
の場合、相乗効果はゼロとします。
そうでない場合、価格差×数量差の絶対値。
(数式が長くて美しくないのですが、私の能力では
こんなふうになってしまいました。)
なぜ上記のような計算になるか、解説します。
「価格×数量=金額」、というのを、
「底辺×高さ=面積」 の図にするとわかりやすいです。
パターン1と2:(図示は省略)
前年または今年の数量がゼロならば、
数量ゼロの時の価格が0.1円だろうと100円だろうと
価格を適用していないので、価格差を使わず、
全額が「数量影響」となります。
相乗効果を「価格差×数量差の絶対値」で計算すると
+1円×2個=2 ですが、不要なので、
条件分岐によりゼロにします。
パターン3と4:価格は変わっていないので、
全額が「数量影響」となります。
パターン5と6:数量は変わっていないので、
全額が「価格影響」となります。
パターン7:(Excel数式を挙げたパターン)
面積の増加5の内、数量が2,価格が2,相乗効果が1,
というのは、図ではこのような配置になります。
「価格影響=価格差×数量が小さい方」
「数量影響=数量差×価格が小さい方」と、わざわざ
小さい方を選ぶのは、面積増加分を要因別に仕分け
するのに、最適な方法だと考えたからです。
パターン8:価格と数量が共に減少した場合、相乗効果は
単純に「価格差×数量差」にすると、-1×-1=+1
になってしまいます。符号をマイナスにしたいので、
「価格差×数量差の絶対値」で計算します。
パターン9:「価格増加・数量減少」パターン。
相乗効果を「価格差×数量差の絶対値」で計算すると
+1円×1個=1 ですが、
数量影響 -2、価格影響 +1で、面積の減少分 -1
の説明が済んでおり、相乗効果が不要なため、
条件分岐によりゼロにします。
パターン10:「価格減少・数量増加」パターン。
パターン9と同様、相乗効果が不要です。