こんばんは。今日で10月も終わりですね。皆様にとってはどんな1ヶ月だったでしょうか。

 

 

当ブログでは毎週、前の日までの1週間の出来事について書いていますが、今日書くものはこれしかありません。サッカー・J1参入プレーオフ1回戦、ロアッソ熊本と大分トリニータの試合です。私は友人とともに日帰りで敵地に乗り込みました。

 

 
 
 

我らが大分トリニータは終了間際に立て続けに失点し、引き分けに終わりました。この結果、リーグ戦での順位で上回る熊本がプレーオフ2回戦に進出することとなり、大分のJ1昇格への挑戦は終わりを迎えました。J1からの「降格組」として戦ったシーズンが、この試合を持って幕を閉じたのです。

 

 

 

 

通常このブログでは、その週の出来事を書いたあとは自分自身のことを書くことが多いのですが、今日ばかりはサッカーの話をしたいと思います。

 

 

「This is Football‼」

 

今年、Jリーグファンの間でこの言葉がにわかに話題になりました。水戸ホーリーホックの秋葉忠宏監督の発言です。

 

 

 

 

 

 

 

昨年から今年にかけて、素晴らしい試合の後に彼は「This is Football」「This is Mito Hollyhock」と発し、その都度水戸のファン・サポーターだけでなく、様々なサッカーファンの目を引いてきました。私も、秋葉監督のインタビューを楽しみに見ていたサッカーファンのひとりです。

 

 

劇的な逆転勝利を見せた時。90分通して気持ちのこもったプレーを全員が見せた時。「これこそがフットボールである」と彼は言うのです。水戸のフットボール、と言ってもいいかもしれません。

 

 

私はこれを、主語を逆にして考えてみました。つまり、「フットボールとは○○である」という文章をつくった際、○○に入る言葉は何なのか、ということです。この記事では「サッカー」と呼ばれる競技を指し、アメフトなどは含みません。

 

 

 

事実ベースで最大限に簡略化して表現するならば「11人対11人でひとつのボールを蹴ってゴールに入れ合い、得点の多い方が勝つ競技」となります。

 

私と、このブログを読んで下さっている皆様はおそらくプレイヤーではないでしょう。そんな人々にとってのフットボールは平たく言うと「娯楽」です。直接自分の生活に何かをもたらすわけではありませんが、人生に彩りを加えてくれるものです。

 

 

上記の2つは現実に基づいた客観的な言葉なので、もっと突き詰めていけば、すべてのフットボーラー(プレイヤー・ファンも含む)に各々思い浮かぶ表現があると思います。

 

「楽しい」「熱い」「生活の一部」「1台のバス」「時間と認知の競技」「ストレス」「うねり」「至福と苛立ち」「美しい」「オカルト」……。ひとつの単語では表現しきれないという方も多いのではないでしょうか。人間の数だけ表現はあります。

 

 

 

少し、自分と自分の応援しているクラブの話をします。

 

 

私はこの競技を本格的に観始めて5年ほどとまだまだ若輩者ですが、喜びも悔しさも経験してきたつもりでした。しかし、今回のプレーオフで、初めて抱いた感情がありました。

 

それは、フットボールが「怖い」というものです。

 

 

 

今季の大分は、昨季の降格、それに伴う監督交代、キャンプの短縮など、様々な逆境に身を置いてきました。そんな中でも、J1で戦った主力が軒並みチームに残り、さらに夏にはレジェンド・金崎夢生の帰還でJ2屈指となった戦力で、苦しみながらも5位を確保しました。2位までの自動昇格圏という目標は達成できませんでしたし、パワーでゴリ押しした感もありましたが、昇格への望みを繋いだのです。

 

 

一方、対戦相手の熊本は今季J3からの「昇格組」でした。名将・大木武監督の下、3年かけて磨き上げた魅力的なサッカーはJ2を席巻し、下馬評を大きく覆す4位でリーグ戦を終えました。

 

 

シーズン中から、熊本とのサッカーの完成度の差は感じていました。それでも、技術と強度でなんとかできてしまうのが今年の大分の強さでしたが、フットボールは誤魔化しの効かない競技です。失点シーンだけを振り返れば、ひとつのミスが勝敗を、未来を変えてしまう、そういった風に見えますが、私が感じた怖さはそこではなく、「積み上げ」が大事な時に形になって現れることへの恐怖でした。

 

 

大分の選手やスタッフが真摯に取り組んでいなかったとは到底思いません。42試合+カップ戦の全試合でそんな試合は1つもありませんでしたし、フットボールに真剣に向き合っていなければプレーオフ圏内はおろか一桁順位にも届かなかったでしょう。

 

 

しかし、足りなかった。熊本に上回られた。ただその現実だけを見せられて、その残酷さに打ちひしがれたのです。試合終了の笛を聞いても涙は出ませんでした。ただ、ただ呆然としてしまいました。

 

 

 

こんな感情を知ることがが出来たのもプレーオフまで来れたからだと思えば、数年経てばいい思い出になるのでしょう。しかし、もう二度とこんな経験はしたくありません。第三者が見る分には非常に面白い試合だったでしょうが、当事者からすると苦しいことこの上ありません。

 

 

 

 

 

大分トリニータにはたくさん良い思いをさせてもらいました。J1昇格、そして躍進、天皇杯準優勝……。私が観始めた後だけでも喜びの瞬間は枚挙に暇がありません。

 

 

一方、悔しい思い、悲しい思いもしました。主力の相次ぐ移籍、降格、J2での開幕直後の低迷。この先どうなるんだ、と何度も思いました。

 

希望と不安。高揚と落胆。失意と信頼。様々な感情を抱き、またフットボールの魅力も辛さも教わりました。

 

 

 

今年の夢はついえました。しかし、来年も開幕はやってきます。何人かの選手が大分を去り、また新たな戦力が加わることでしょう。そして私は、来年も知らない景色を見ることになるのでしょう。

 

 

 

 

この競技に、このクラブに惹きつけられてから、本当に様々なものを学びました。フットボールは裏切らない、とは言えませんが、正面から向き合わないとフットボールは振り向いてくれません。

 

 

主語を大きくするのは好きではないですが、今の私は、私なりの「Football is ……」の答えを、堂々と答えることが出来ます。使い古された言葉ではあるのですが、どうしても、こう言いたくなってしまいます。

 

「フットボールは人生そのものである」と。

 

 

 

 

 

 

最後になりますが、私はロアッソ熊本のJ1昇格を願っています。再来年、J1リーグで共に闘いましょう。