2025年10月22日 6:15 配信
NY金先物250ドル安、
過去最大の下げ 巻き戻す
「ゴールドラッシュ」
金価格は長期上昇が続いていた=ロイター
【ニューヨーク=竹内弘文】
金(ゴールド)価格の国際指標である
ニューヨーク先物の中心限月12月物は
2025年10月21日、
前日清算値比250.3ドル(5.7%)安の
1トロイオンス4109.1ドルで取引を終えた。
中心限月の1日の下落幅としては過去最大を記録。
下落率でも約12年ぶりの大きさだ。
急ピッチの相場上昇を招いたマネー流入が巻き戻し
た。
米東部時間の21日未明から相場下落が鮮明となり、
同日朝方から下げ足を速めた。
一時4093ドルまで下げ、
前日夕方に付けた
史上最高値からの下げ幅は300ドルを超えた。
21日は企業決算を手掛かりに
ダウ工業株30種平均が
約2週間半ぶりに史上最高値を更新した。
リスク資産へのマネー回帰は、
金のような安全資産の相場に向かい風となりやすい。
ただ、8月以降の急速な金相場上昇は
株高と併存しており
投資家のリスク選好だけで2
1日の急落を説明するのは難しい。
むしろ「ゴールドラッシュ」とも呼ばれた、
金への投機的なマネー殺到の反動が
表面化したとみるべきかもしれない。
米ネット掲示板レディットで
個人投資家が集う
「ウォールストリートベッツ」では、
金で運用する上場投資信託(ETF)
「SPDRゴールド・シェアーズ」の
証券コード「GLD」が直近までもてはやされていた。
QUICK・ファクトセットによると
同ETFには直近3営業日だけで
49億ドルの資金が流入していた。
強気に傾いたポジション(持ち高)の偏りは、
相場の風向きが変わると
相場急変に拍車をかけやすい。
金価格に連動する
レバレッジ型ETFといった
投機性がいっそう高い商品で投資していた
投資家も少なくなかったとみられ、
レディットでは21日は
「金相場急落で資産が溶けた」など
嘆きの書き込みが見られた。
金の強気相場が終息に向かうかは読みにくい。
押し目とみて投資家が
再び買い意欲を高める可能性もある。
ただ英キャピタル・エコノミクスの
チーフ市場エコノミスト、ジョン・ヒギンス氏は
相場急落前の20日付リポートで
金相場は物価などから
正当化できる水準を大幅に上回っていると分析し
「まもなくバブルが崩壊する
可能性はますます高まっている」と指摘していた。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、
日本経済新聞社の見解ではありません。
新村直弘 マーケット・リスク・アドバイザリー共同代表 ひとこと解説9月以降の上昇はETFの買いに拠るところが大きく、株式市場からの資金流入が一因と見られます。昨日はRSIでも買われ過ぎが示唆されていたのでその調整でしょう。 しかしこの数年の金価格上昇は米国が特に宇露戦争時にバイデン政権が「武器としてドルを用いる」ことを加速(実際にはイランに対しても行っている)したことによるものであり、その武器の影響力を低下させようという動きが強まるのも自然といえます。 結局、インフレというよりも金の外貨準備としてのステータスが宇露戦争以降大きく変わったため、戦争並び貿易戦争が終結するまでは上昇が続きそうです。これまでの分析が余り役に立たなくなったともいえます。
2025年10月22日 8:01 (2025年10月22日 8:02更新)
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