小学校時代に私が住んでいた家は、

取り壊して今はもうない。

塀と玄関、廊下、トイレ、台所、居間、和室、浴室、私が寝ていた部屋···

思い出そうとすれば建物はあれこれ思い出せるけど、

当時の兄たちの顔とか、

母の髪型や着ていた服とかはあんまり思い出せない。


東京オリンピック開催が決まった頃、

2020には拉致被害者が帰国していてほしいと願っていたけど

コロナで一年延びたオリパラが終わってもまだ

最初の帰国者とその家族以外には誰も帰国がかなってない。


めぐみさんのお父さんの滋さんは亡くなってしまったし、めぐみさんのお母さんもご高齢で

めぐみさんの弟さんに活動を引き継ぐみたいだし。

進展を感じることなく時間だけが過ぎて、被害者と被害者の家族の悲しみや絶望だけ深まっていること。

小泉政権の時みたいに、世論に力がないと解決の流れにはならないと思うから、こんな小さなブログだけど、拉致問題について思うことを書いておきたい。


曽我ひとみさんが、帰国直前に日本政府と面会した時に、女性の写真を見せられて、「これが誰かわかりますか?」と聞かれたらしい。

曽我さんは「それは私です」と答えたそう。

政府の方はちょっと困惑した様子で、写真の女性は曽我さんのお母様だと教えてくれたらしい。

曽我さんは、自分のお母さんの顔を忘れてしまっていたことに衝撃を受けたそう。


話は戻るのだけど、私も昔の母の顔は、アルバムで見返した時の写真の母くらいしか思い出せず、純粋に記憶の中の母の鮮明な表情は思い浮かべられない気がする。


めぐみさんが帰国を願う度に、思い浮かべるだろう両親や弟たちの顔、そのおもかげが次第に曖昧になっていくことの悲しみを想像する。


こんなにむごいことを、早く終わりにしてほしい。