横 赤
 

ここ何年か 花火を見ると必ず思い出す話があります。

 

ピアニストの辻井伸行さんのお母さんは

目の見えない伸行さんを花火大会に連れて行って

打ち上がる花火の様子を伝えていたというエピソードです。

(実家母から聞いた話なので、事実とズレがあったらすみません汗

 

「今赤い花火が上がったよ」

とか

「今度は緑色、次は青だよ、大きくて綺麗だよ」

とか そんな風に伝えていたのかな?と、

花火を見る度にその話を思い出しては

私だったら、自分が今見ている花火を

どんな風に伝えることができるのか

頭の中で感じたことを描き直す練習(?)をしています。

 

不思議なのですが、そうするとより花火が

美しく感じられることがあります。

また同時に今後、私が視力を失うようなことがあっても

もしかしたら視覚以外で感じたり、誰かの表現を聞くことで

花火が見えるんじゃないかなという気もしてきます。

 

実際に一度でも花火を見た者なら、様子を伝えられさえすれば

イメージするのはたやすいことかもしれないけれど

実際に目で「見ている」花火の方が

心を通して見る花火よりも美しいかなんて

誰にも言えないと思います。

 
横 白