映画映画


『 イル ポスティーノ 』


を観ましたCD


※注意注意ネタばれアリ!

 

イタリア映画、または、イタリアを舞台にした映画

好きです。


ただ笑って終わるのではなくて

観終わった後、

やりきれない気持ちでずーんと心が重くなったり、


号泣して終わるのではなくて

後からふと思い出してため息が出たり、などなど

観ている間だけの娯楽ではなくて

深く心に残る映画が多い気がします。

 

今思い出すのは

「ニューシネマパラダイス」

「マレーナ」

ですが(調べたらどちらも同じ監督だった!こりゃ、他の作品も観なければ!!)、

今回の『イル ポスティーノ』も まさしく!

イタリア映画でした。

 

観終わった直後の自分の気持ちを

何と言い表して良いのかわからなくなるような

エンディング。


ただ、主人公マリオとヒロインベアトリーチェが

詩によって恋に落ちるあたりは

ちょっとついていけませんでした。

最初マリオの詩による愛の表現を

バカにしているようにも見えたヒロインが

次にはマリオの詩を肌身離さず持っているとか。

ひょっとしてあえて飛ばしてるのでしょうか。

 

そもそも主人公が一目ぼれするシーンの

ヒロイン、むしろ怖いです。

二人はお互い見つめるだけ、

無言でボードゲーム(サッカー、イタリアなので「カルチョ」)

をしていて、

ゴールしたボールを探して顔をあげたら

ヒロインがいきなりボールを口にくわえているっていう、ね。

私が男ならドン引きなんだけど、

美女×いきなり=強烈に心つかむ、なのかな。

 

 

途中からずっと下り坂を行くような展開で

「どこまで痛く、みじめなんだ」と思いながら

閉そく感いっぱいで観るも

ラスト15分(くらい?)に、

怒涛の感情解放(詩の表現)。

  

『 この島の 美しいもの 』 

 

で始まる詩は

パブロとの出会い以前のマリオには

見えていて見えないもの。


昔読んだ遠藤周作の本で

自分が誰か他人の人生の前を横切り

そのことでその人の人生が本来の道とは

違った方向に歪んでしまうことを恐れる、

というような内容があって

印象に残っていたけれど

それに似てる。


当時素晴らしい人が自分の人生の前を通過して

それで自分の人生がゆがむのなら

いい意味でゆがむに違いないと思っていたから

遠藤周作みたいな人には遠慮せず

どんどん他人の前を横切りまくってほしいと思ってた。

 

今も同じように思うし、

偉大な詩人パブロとの出会いが

マリオの人生を変えたのだと思うけれど

被歪マリオの人生も

パブロを真似したわけではなくて、

パブロに好かれるための人生ではなくて、

マリオ自身がこれまで伸ばさなかった枝を伸ばしたというだけの

彼にとっての自然で、「なるべくして」の人生に思う。

オリジナルの彼の人生のままだと思う。

 

熱くて まっすぐで 哀しくて 弱い

最初から最後まで 痛々しいくらい不器用な生き方。

めっちゃ、 マリオ・トロイージです。

 

足りないものはありませんでした。