ココ・シャネル/美川元子 著(理論社)

を読みました本

 

映画館に行った時、本編が始まる前のCMで

「ココ・シャネル」の宣伝があって

シャネルが自分の襟に結ったリボンの余りを

ジョキン!はさみ と切るシーンを観ました。

 

えっ あの 『シャネル』 ってそういう人なの?!なんか面白そう!


と気になって 本編(たしか「るろうに剣心」)はいいから、

シャネルの生涯を見せてくれよ~ って思いました映画


映画ではなく本ですが「ココ・シャネル」を見つけて

嬉しくてすぐ借りました。

 

パンツルック 黒 5番

女 ビジューファンテジー 

シャネルのキーワードです。


本名 ガブリエル・シャネル

1883年フランス生まれ・・・ということは私とだいたい100歳違いです。

幼い頃に母を亡くし

父に修道院に預けられ孤児となりました。

修道院を出たら すぐに待っているのは結婚です。

女性が仕事を持ちひとりで食べていくことなどできない時代でした。

 

男に頼るしかない結婚なんて嫌と

修道院を抜け出して 知り合った階級の高い男性 エチエンヌのもと

彼の牧場の社交場で自由に過ごすうち

女性たちがひらひらしたレース、リボン、

飾りだらけのドレスと飾りだらけの帽子で着飾って集まってくるのを見て

シャネルはそのくどい姿にウンザリします。

 

「女性はゴテゴテと飾れば飾るほどに老けるのよ」と

その社交場に自分流のファッションで登場。

 

ズボンを履いた 男装のようなファッション!

 

女性のパンツルックなんてありえない時代、

批判もあったでしょうが シャネルの魅力的なファッションは注目の的でした。

暇つぶしに作っていたシンプルな帽子も好評で

エチエンヌの友人のカペル(シャネルと恋仲になるも後に交通事故死)の出資で

パリのカンボン通りに帽子店を構えるところから、

ファッションデザイナー ※ココ・シャネルが始まります。

(※シャネルは本名のガブリエルではなく、ココと呼ばれるのを好んだそうです。)

 

帽子から始まり、洋服 そして香水へと商売が広がりますが

まず背景として その当時の女性の美の基準は

男性目線の美しさであり、腰をキュッとコルセットで縛って

走りにくい飾りだらけの重いスカート、

腕も挙げられないような窮屈な美でした。

 

シャネルは男性から見た女性の美しさではなく

女性自身が 仕事でも恋でもスポーツでも 

やりたいことをのびのびと楽しめて

活動的でいきいきとできる美しさを 

ファッションを通して提案しました。

  

余計な飾りはつけない、掛けられないボタンなど要らない、

ポケットには手が入らないと意味がない(飾りのポケットは作らない)、

シンプルで 実用的なファッションを次々と生み出し人々を驚かせます。

 

動きやすいパンツルック、

海辺のリゾート地では水兵服をヒントにしたマリンルック、

当時は本物の宝石であることが大前提のアクセサリーに

ビジューファンテジー(イミテーションアクセサリー)を取り入れました。

シャネル流は、イミテーションの中に

こっそり本物を混じりこませて着こなすことだったようです。 

 

「私の宝石は どこまでもイミテーションなの

  本物の宝石より 美しいわ」

 

この強気。

単に低い階級で孤児院出身の僻みというのではなくて

本物の宝石をいくらでも買える財力を持ちながら

(実際に一度ですが本物の宝石の贅沢な展示会をやっている)

本物とイミテーションを混ぜて遊ぶこと、

「カラットで量る価値はない」と言い切る自信がかっこいいです。


戦争でおしゃれどころではなくなった女性には

傷ついた兵士の看病に動き回れるよう

伸縮性のあるジャージー素材を開発し

その時代に女性が必要とする洋服を作り続けました。

 

ある時友人と約束したオペラ観劇の直前に

触った湯沸かし器が爆発し、ドレスは黒焦げ、

顔はススだらけになってしまったことがありました。


服は着替えられるけれど、髪を洗い直して乾かしている暇はない、

そう思ったシャネルは、小間使いからハサミを受け取るとその場で

長い髪を切り落とし 首が丸見えになるほどのショートカットにしてしまったので

「すっきりしたわ」 と言うシャネルの横で

小間使いは「マドモアゼル、なんてことを・・・!」と泣いていたとか。

 

長い髪もまた 女性の美しさのシンボルのひとつだった時代に

ショートカットでオペラを観にきたシャネルはまた目立ちまくる。

眉をひそめる人もいたかもしれないけれど

髪の短いシャネルに女性たちは

「なんて素敵なの・・・」状態。(本当かな・・←おいっ)

 

黒と言えば喪服を連想させた時代に

「エレガンスな黒」を打ち出し、シャネルの黒いドレスが大ヒット。

「たくさんの色を使えば使うほど醜くなる」としたシャネルに対し、

色をたくさん使い、派手な装飾を得意とした

ポールポワレという男性デザイナーは大激怒したそうです。

胸が大きく、ふくよかな女性が美しいとする流れに

シャネル本人のように少年のような、痩せた女性が美しいという

新たなモードができました。(1920~)

 

黒服着る、パンツルック好き、

持ってるアクセサリーは9割9分イミテーション、

最近髪を切ってショートに近い私は

シャネル様さまな今を生きているけれど

「痩せた女性が~」のくだりは なんてことをしてくれたんだ!という感じガーン


でも、一番最初に「おしゃれ!」としてズボンを履いて

社交の場に現れたシャネル、ショートカットで堂々とオペラを観に来たシャネルに

同じ女性として自然と憧れの拍手を送りたくなります。


香水を作る際、調香師に

「甘ったるい香りはやめてね、キリリとして 

昼も夜もつけていられる香りじゃないとだめよ」と注文をつけ、

「乙女の朝の涙」とか、「バラの花束に埋もれて」というネーミングが主流だったなか

「No,5」という斬新な名前で売り出した香水に関しては


マリリン・モンローの

「夜寝る時は シャネルの5番だけ」 

という言葉が残っています。

 

自分がその場を去っても、そこに居たとわかるような

椅子にジャケットを忘れても、そのジャケットが誰のものかすぐにわかるような

香水の使い方をすべきとして、「耳の後ろにちょっとだけつけるような女性は軽蔑する」、

と言ったそうです。

(食事の時でもそうなのか、その時代は有りだったのかわかりません)

そこまで真似する勇気はありませんが、

すぐにでもお店に行って その5番とやらの香りをかいでみたいなと思いました。

かぐだけで買えないと思うけれど。

 

本を返してしまったので シャネルの言葉か知人の言葉か

はっきり思い出せないけれど 本の中に


「香水で仕上げをしない女性に未来はない」


なんて書いてあって、

慌ててしまいこんでいた練り香水を取り出して

耳の後ろにちょっとだけ塗ったりして。サーセン。

 

ズボンを履くとき、黒い服を着るとき

イミテーションアクセサリーを付けるとき

何気なく 当たり前にそうしてきたことだけれど

大胆に意識的に堂々と 

一番最初にそれらをやってのけた女性を

時には思い出して


深呼吸。


背筋を伸ばして外へ出かけたいな。