※透明人間に語るブログ 


今日はクリスマス。

 

正午になるとあなたが、プレゼントを持ってやってくる。

 

私はそっとドアを開く。

 

そこに立っている、

透明なあなた。

 

透明な手に

透明なプレゼントを持って。

 

あなたの透明な腕が、

私に

プレゼントを差し出す。

 

私はそれに、手を伸ばす。

 

血と肉と骨で濁った、私の手。

 

その手は

あなたの透明なプレゼントをかすめて

透明な腕をかすめて

ただ透明な空をつかむ。

 

毎年私は、あなたのプレゼントを

受け取ることができない。 

 

そんな私を見て   

あなたは寂しそうに

少しうつむき

透明な涙を流し

そしてゆっくりと

来た道を帰って行く。

  

目に見えない

プレゼント。

  

手に触れられない

プレゼント。

    

私はあなたのプレゼントを

見たことがない。

   

私は

血と肉と骨で

今、ここに生きてるから。

  

私の両目から

透明なものがあふれ出す。

  

「待って」

  

あなたが振り向く。 

   

透明なものが、止まらない。 

  

「ありがとう 

 どうも ありがとう」

  

  

  

ねえ。

私にはもう、

あなたの声は聞こえない。

姿は見えない。

触れることもない。

 

だけど。

ねえ。

見えなくても。

あたたかいものが

たしかに、たしかに

ここにある。

 

ここに、あるよ。