昨晩10時くらいから読み始めて、深夜2時に完全に読了。
4時間ほどかかったけれど、600ページあるものを読んだにしては、悪くない時間かもしれない。
book3を売り場で摑んだ瞬間に、「あぁ、1Q84はbook3で終るのだ」と無意識に感じてしまった。それは予感でもなく、予想でもなく、ほとんど確信的に。
しかしながら読み進めていると、6割強を読んだころ「これはbook4まで書かれるのではないか、そうするべきではないか」と感じた。そこまでの段階では、およそ残りの200ページほどでは、どう考えても巧い結末をイメージすることが出来なかったからだ。
しかし、どうだろう。
総てbook3を読み終えると、「これはbook3で素晴らしい完結を遂げたのだ」といわざるを得ない。
つまり、残りの3割強が恐ろしいほどのスピード感や疾走感に溢れ、果てしない力があったということだ。
練りに練られた文章からしか感じられないこと。それは三島由紀夫が語っているそれと同じようなものだ。
**********
きっと、多くの人間が「解決していない事柄や内容が多すぎるし、何を書きたいのか分からない」と批判し、村上春樹の扱いはそんなに良くないのかもしれない。
特にこの1Q84はそういう作品になっているとは思う。
しかし、だ。
そういうことでは、ない。
**********
「何を書きたいのか」とううことではなく、この中で「何を書かなければいけなかったのか」ということだと、僕は思う。
本当に「書かなければいけなかったこと」は丁寧に纏められ、それはもう慎重に磨き抜かれている。
つまり存在していた多くの伏線や事象、枝分かれしたように思える幾つかの結末や行く末、そういうものは「書かなければいけなかったこと」ではないのだ。
この小説を「カルト宗教批判小説」とか「性的ファンタジーの創造物」とか「村上春樹のオナニー作品」とか「よもや、文学ではない」とか批判されるようにも思う。
そのどれもが全く分からないではないけれど、そんな揶揄は放っておけばいい、と感じる。
**********
言わせておけばいいのだ。
「書かなければいけなかったこと」はそういう人間に対しては重要なことではないし、理解されるべきことでもないし、あるいは必要のないことだからだ。
いずれにしたところで、この小説は村上春樹作品の中でも、とりわけ素晴らしい作品に仕上がったと思う。
量、重さ、濃度、密度、そんなモノがカオスとなって入り混じり、ダイレクトに触れられるように存在しているにも関わらず、現実的にはスッと体と頭に、限りない純粋物としてしみこんでくるのだ。
そして、わずかな時間で溶け込む。
**********
今更、ともいえるけれど。
この1Q84をもってして。
「あぁ、村上春樹はノーベル賞をようやく取るのだ」と。
それも無意識に確信的に感じた。
そういう、こと。 arlequin
4時間ほどかかったけれど、600ページあるものを読んだにしては、悪くない時間かもしれない。
book3を売り場で摑んだ瞬間に、「あぁ、1Q84はbook3で終るのだ」と無意識に感じてしまった。それは予感でもなく、予想でもなく、ほとんど確信的に。
しかしながら読み進めていると、6割強を読んだころ「これはbook4まで書かれるのではないか、そうするべきではないか」と感じた。そこまでの段階では、およそ残りの200ページほどでは、どう考えても巧い結末をイメージすることが出来なかったからだ。
しかし、どうだろう。
総てbook3を読み終えると、「これはbook3で素晴らしい完結を遂げたのだ」といわざるを得ない。
つまり、残りの3割強が恐ろしいほどのスピード感や疾走感に溢れ、果てしない力があったということだ。
練りに練られた文章からしか感じられないこと。それは三島由紀夫が語っているそれと同じようなものだ。
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きっと、多くの人間が「解決していない事柄や内容が多すぎるし、何を書きたいのか分からない」と批判し、村上春樹の扱いはそんなに良くないのかもしれない。
特にこの1Q84はそういう作品になっているとは思う。
しかし、だ。
そういうことでは、ない。
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「何を書きたいのか」とううことではなく、この中で「何を書かなければいけなかったのか」ということだと、僕は思う。
本当に「書かなければいけなかったこと」は丁寧に纏められ、それはもう慎重に磨き抜かれている。
つまり存在していた多くの伏線や事象、枝分かれしたように思える幾つかの結末や行く末、そういうものは「書かなければいけなかったこと」ではないのだ。
この小説を「カルト宗教批判小説」とか「性的ファンタジーの創造物」とか「村上春樹のオナニー作品」とか「よもや、文学ではない」とか批判されるようにも思う。
そのどれもが全く分からないではないけれど、そんな揶揄は放っておけばいい、と感じる。
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言わせておけばいいのだ。
「書かなければいけなかったこと」はそういう人間に対しては重要なことではないし、理解されるべきことでもないし、あるいは必要のないことだからだ。
いずれにしたところで、この小説は村上春樹作品の中でも、とりわけ素晴らしい作品に仕上がったと思う。
量、重さ、濃度、密度、そんなモノがカオスとなって入り混じり、ダイレクトに触れられるように存在しているにも関わらず、現実的にはスッと体と頭に、限りない純粋物としてしみこんでくるのだ。
そして、わずかな時間で溶け込む。
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今更、ともいえるけれど。
この1Q84をもってして。
「あぁ、村上春樹はノーベル賞をようやく取るのだ」と。
それも無意識に確信的に感じた。
そういう、こと。 arlequin