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clocksの覚え書き

読んでもらいたくて書いてるというよりは、自分のための覚え書きです。人に見られることを前提にしていないとは言え、もし誰かが読んでくれて、何かプラスのことを感じてくれたら嬉しいです。

こういう作品に普段使う言葉じゃないんだけど、
いい映画だったね。

アイ・アム・デビッド [DVD]/ポニーキャニオン
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ストーリー
第二次世界大戦後、ブルガリアの強制収容所で育った少年・デビッド。
家族のいないデビッドはヨハンという男と仲が良かった。
ヨハンはデビッドのことを気にかけ、暴力しかない強制収容所内で唯一の標となる存在だった。
ある時デビッドはヨハンに、ここから逃げ出したいと告げる。
逃げたら殺されると警告するヨハンだが、デビッドはここにいても死ぬだけだと訴える。
ヨハンはデビッドに誰も信用するなと念を押し、デビッドは導かれる通りに強制収容所から脱出する。
目的地はデンマーク、なぜそこに行くのか、デビッドは知らない。それがどこかも知らない。
手元には一通の封筒、なぜ持たされたのか、彼は知らない。それがなんなのかも。

すごくいい映画でした。
でももしかしたら俺の今の心理状態にたまたま見事に当てはまっただけかもしれない。
でも間違いなくすごく好きな映画だと思った。

映画の構成自体は、いたってシンプル。
いい意味で、まるで教育テレビで放送される子供向けの有名小説のドラマ版みたいな、
お昼になんとなくチャンネル合わせたらやっているような、
そんな印象を受けた。
際立ってというよりも全くもって、奇をてらったような演出はしていない。
すごく平和で、イノセントな映画に見えた。
まさに12歳の少年の心のような映像世界だと思った。

この映画、デビッドは映画の主人公として致命的な欠点を持っている。
彼は無口で、ずっと一人なのだ。
普通こんな設定では映画として成立しない。
主人公が無口だったら、よくしゃべる相棒やモブキャラがいたり、子供と出会ったりする。
でも彼はずっと喋らない。心を閉ざしたまま。
特に前半は誰とも出会わないから、ほとんど台詞がない。
でもなぜかずっと夢中で観れた。
多分、先に述べた素直な演出がそうさせたのだと思うけれど、
こういう作品で夢中になったのは初めてだった。
ストーリーも単純だ、デビッドが物語前半で捕まってしまうはずがないなんて、
先読みしなくてもわかることだ。
だから、見つかるんじゃないか捕まるんじゃないかというドキドキは殆どない。
実際、作品としてもそれに頼ってないと思う。
でも夢中で観れた。不思議な体験だった。

この映画は原作はアメリカでも指折りの人気冒険小説らしい。
世界的にベストセラーとなっており、多くの賞も受賞している。
作品を見ていて、「あ、端折ったな」というシーンはいくつもあった。
小説だったらチャプター一つ分くらいのシーンを飛ばしていたりってのが沢山あると思う。
物語の性質上、デビッドはちゃんと進まなくちゃいけないから、
いつの間にもうこんなに来たの?ってことにならないように、
内容は端折っても行動は省略できない。
だからそういう部分はよくわかるんだけど、作品としては全く気にしてないと思う。

いうなれば、世界的児童文学を映画のプロが映像化しました、という感じ。
この映画では、面白い、言ってしまえばハリウッド的映画としてあるべき多くのものが存在しない。
でもそれは足りないんじゃない、やってないのだ。
するとこの映画はハラハラドキドキではなく、12歳の安心感で満たされることとなった。
ある意味で、ジブリ的な作品というと完璧ではないにしても伝わりやすいのかもしれない。

キャストも素晴らしかった。
デビッド役の子役は、なんていうか完璧だった。
彼をもちろん褒めたいけど、同じくらい彼を演出した監督と、見つけ出した人たちを賞賛したい。
そしてそんな子役に負けない存在感を放った、ジェームズ・カヴィーゼルは本当に素晴らしかった。

この映画、原作が有名作品だけあってどの紹介サイトを見ても普通にネタバレされている。
でも俺は、幸運なことに何も知らずに借りた。
タイトルと評判だけは記憶にあったけど、その場でDVDの裏も見ずに借りた。
何も知らずに観れたことが、シンプルなストーリー故に楽しめた理由の一つとなったことは間違いない。
それに、この映画の作った人たちも観客が小説を読んでいないこと前提に作っていると思った。
だから、小説を知らないのであれば知らないまま見たほうがいい。

誰もが一度は見るべき映画だと思うよ。
そして、大人になってからもう一度見るべき作品。