彼はほんの数刻前まで山だった場所で寛いでいた
徒歩で攻略しその先の街へ向かう最中、正体不明の大型の魔物に遭遇した
即座に機械ドールのαとΖを召喚し速攻を仕掛ける
かつて憧れた翼を持つドラゴン達を模した姿のドールは、それぞれに固有の能力を備えている
そして共通した能力として、互いに引き合い次の召喚に必要な魔力の消費を劇的に軽減してくれるものがあり、それらを駆使して、彼…バン・アントは一息で大量にドールを呼び出すことが出来る
連続攻撃の後、予想よりもタフな魔物の感触にすぐさまνⅡ、そしてμβへと召喚・合体を進め相乗効果で更に軽減された魔力消費により大型機械ドール-DRAを顕現させる
全身に装備された魔力砲門と両腕の実体剣を駆使し魔物を翻弄する
バンの扱う機械ドール達は小型でも1m四方の大きさを持ち、それぞれに魔力攻撃を放つことができる
その中でも大型であるDRAは、その破壊規模が桁違いに大きい
圧縮魔力を集束させたレーザーが全砲門から掃射され、相手を焼き尽くす
動きが鈍ったその隙を捉え、辻斬りのごとく実体剣で焼かれた身体にさらに深傷を負わせた刹那、魔物に再度レーザーがぶつけられる
これはDRAの放った黄色いものとは違う、黒い稲妻を帯びた青白いものだった
これを扱うのはDRAの奏者、バンである
ドール達に連携し、自らに魔具を装備して参加する彼のお決まりの戦闘スタイルであり、目まぐるしく動き回るドールに撹乱された相手は奏者を見失いやすく、その防御の最も薄くなる場所へバンは最適な攻撃を叩き込む
相手がタフであればあるほど、一連の連携そして召喚されるドールの数も種類も増えていく
気がつけば、魔物は姿を消し山はその形を留めていなかった
この間、僅か数十分である
消費した体力と魔力を回復させるため寛ぎながら、バンは空を見やる
立派な体躯をした若いドラゴンと、それに運ばれる者達の喧騒がここまで届いている
あぁ…平和だな、彼はそっと目を閉じた