歌い手が一人で音楽を成立させる事は基本的にない。ソロのアカペラ曲というのもなかなか聞かないし、大抵ピアノなりオーケストラなり何かしら音楽を鳴らしてもらった上で歌う事が出来る。
大学に入って何もツテがないまま、ピアニストを探さねばならないと知ったとき私は戦慄を覚えた。
理由は多々あるが、
「物事に妥協ができない→いつまでも合うピアニストを捜し求める」
「そもそも、練習してるとこを覗き見、覗き聞き(?)しないと決められないのではないか→通報されるかもしれない」
と、こんな感じか。
なので、これは行き当たりばったりで決めるしかないのか、と思い、たまたま体育で同じ時間だったピアノ科の同期Sさんに頼んだ。当然、演奏も聞いた事ないし、ほぼ初対面状態。
個人的には、地元で勉強していた時にピアノとのアンサンブル(ちなみに私は伴奏と言う言葉が嫌いだ。私はアンサンブル、競演と認識している)を研究できる場が頻繁にあり、それなりにこだわりを持ってやってきたので、多分かなり修正を入れねばならないのではないか・・・と予測していた。
恐らく最初に合わせたのはBelliniのMa rendi... かAlmen se...だったと思う。
・・・全く文句なしだった。
私は、合わない共演者とは本当に合わないと思っていたし、歌ではなかったが実際そういう経験があった。こればっかりは、どう細かく打ち合わせて書き込みなんかしても、実生活での人付き合いと同じで合わないもんは合わないという認識。
ピアノとの合わせは私の場合まずタイミングと音楽のもっていきかた(要はノリですな)、それから音
と弾き姿を気にするのだが、どこをとっても文句がないというか、注文つけずとも「合ってしまう」のである。
回数を重ねるごとに、当たり前ではあるが演奏に一体感が出てくるし、音楽での対話でなく口頭での音楽作りの会話をしていても、フレーズに対する印象も基本的には共通認識があり、そこからまた新たな解釈をしていく、という作業がたまらなく楽しい。
Pavarottiがものすごく自由に歌うように私が歌っても、私はサマにならないだろうから、当分私は私なりのやり方で自分の理想を追求していくしかないのであろう。しかしそれはやはり一人では出来ない、パートナーがいるから、追求できるのである。
私ピアノ弾けないしさ・・・
