『価格戦略』から『付加価値戦略』への転換

よりコストパフォーマンスの良い製品開発を心がけましょう。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


今週は「なんでも酒や カクヤス」の社長佐藤順一さんです。この会社の本社は東京都北区豊島231 、実は直ぐ近くです。昔はお酒は酒屋さんでした売っていませんでしたが、今はスーパーやコンビニなどどこでも売っています。その為、この業界も競争が激しく酒屋は減少していっていますが、この会社は1994年にわずか2店舗だった店舗数は15年で142店舗に急増しています。その秘密なんですが、私は会社名の通り“格安”なことが売りのなのかと思っていたのですが、実はそうではなく“安さを超えた高いサービス”にあるそうです。東京23区内なら、電話一本で、ビール1本から、2時間以内に、無料で配達してくれる。しかも、重い商品などは・・・家の中の台所まで届けてくれる。この唯一無二のサービスにより、いまや、1日1万5000件の注文が殺到しているとのことです。


さて、なぜこんなサービスをしているかということなんですが、きっかけは「2003年の酒類免許規制緩和の決定」だそうで、規制緩和後はスーパーマーケット・コンビニエンスストア等が競合になるので、価格では勝てない、そこで付加価値で勝負しようと考えたそうです。すなわち、『価格戦略』から『付加価値戦略』への転換です。とはいっても、簡単にいくものでもありません。かなり苦労されたみたいです。色々考えた結果、唯一勝てるかも知れないと思ったのは宅配サービスだったそうです。しかし、他社が後で宅配サービスを始めてきた時に負けてしまうとしょうがないので他社(スーパーやコンビニ)ができないモデルをしようとして、今のサービスを始めたそうです。


東京23区内をカバーするためには、どういった範囲でどのくらいの数の店舗を出店しなければならないかを計算しどんどん出店して行ったそうです。そのペースはおよそ3年で80強だそうで、難易度が極めて高いものでした。しかも、これまで『価格戦略』で短期間で黒字化できたものが『付加価値戦略』ではそうはいかず、100店になった時点で6割くらい赤字だったそうです。銀行からは「真面目に考えてもらわないと困る」って言われ、役員会でも全員反対で「出店やめましょう」と言われましたとのこと。しかし粘り強くやっていった結果が上に書いた様な成功に繋がっています。


さて、現在、国内にどんどん中国を初め海外特にアジア諸国の安い製品が入ってきてます。人件費が安い国で製造した方がコストが安く済むということで製造拠点を海外に持っていく例も多数あります。その中で、日本国内での商品開発はいかにあるべきか?やはり価格で勝負という訳にはいかないでしょう。付加価値を高めていくことを考えなければいけません。ただ、私の考えとしては、品質を高めるだけ高めてべらぼうにコストが掛かるような製品では、それは一部のマニアックな人にしか売れません。「価格も品質」ということもある様に、多くの人に買って頂くためには価格と品質のバランスが良好なもの、つまりコストパフォーマンスが良いものでなければいけないと思います。コストと品質のグラフを書いてみて、よりコストは低く、品質は高くなる様な製品開発を心がけましょう。


*参考URL

http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/list/list20100308.html

http://nvc.nikkeibp.co.jp/report/company/shacho/20090319_001645.html

http://www.careerwoos.com/contents/topinterview/ti_15.html

http://www.o-enpro.com/ceo/kakuyasu/20081209000159.html



アサヒ スーパードライ 350ml×24缶/アサヒビール(株)
¥価格不明
Amazon.co.jp