今はとある朝のファーストフードに居る。
つい何日か前までとは明らかに変わりつつある季節の変わり目を、行き交う人々の温かそうな服装が示していた。
いつもの様に混雑した電車に揺られ駅に着いた私は、次の電車に乗り換える為、決まった階段を変わらぬ速度で上がっていく。
そして、いつもの様に次の列車を待つホームへと階段を降りていく、はず、だった。
気付いたら、私はそのホームに向かう途中にあるファーストフード店に滑り込んでいた。
自分でも驚く程にとても当たり前な様に。
そう、簡単に言えば今日は会社をずる休みしたのだ。
してしまった。
やってしまった!と多少の焦りと言うかやっちまった感があるのかと思えば、それが全く無い。
とにかく、飲み物を注文し適当な席に着く。
以前来た時はよくあるファーストフード店チックな内装だったが、久しぶりに来てみたら何ともシックと言うか木目調な雰囲気で、ファーストフード店独特のガヤガヤ感と言うか、ワイワイしながら飲食すると言う人も居ない、、いや、逆にし辛い雰囲気なのか。
自分が若い時とは明らかに時代が違ってきたのかもしれないな。
こんな時間帯にも関わらず、以外にも沢山の人が店内に居る事にまず驚いた。
冷えた体に暖かい飲み物が染み入る感覚を味わいながらふと店内を見渡すと、殆どの人達の視線の先にはスマホがあって、それでなくても静かな店内が更に音が無い空間な気がしてちょっと居ずらくなっていた。
ガヤガヤした雰囲気も含めて何となくなくリラックス出来た感覚もあの頃はあったのかな。
便利すぎる時代が、逆に人間から色々な感情とか温かさを奪わなければいいなぁ、なんて考えながら私は半分冷えた飲み物を一気に飲み干しその店を後にした。