「エミリー・ローズ」(2006) 監督/スコット・デリクソン

出演/ローラ・リニー、トム・ウィルキンソン、ジェニファー・カーペンター 他

オススメ度 ★★★★★★★★★★10

◆ごく普通の19歳の大学生エミリー・ローズは、突然、原因不明の激しい痙攣と恐ろしい幻覚に襲われた。症状は回復する気配もなく、まるで呪われているかのような凄まじい痙攣と幻覚は、次第に悪化していった。
エミリーは自分に何かが取り憑いているからだと確信し、自らの運命を神父に託す。しかし、神父による"悪魔祓い"は失敗に終わり、エミリーは命を落としてしまう。神父は過失の罪に問われるが―。

法廷に悪魔憑きの存在を認めさせた実在の事件、という触れ込みですが、結局認めたのか認めてないのかよくわからん中途半端な状態でした。神父が罪にならなかったのはとんちのような方法だったし(笑)。

ともかく、映画としてはとてもよかったと思います。CMや前評判で「悪魔の憑かれる女の子の動きが怖すぎるのでおもろいホラー映画かも」とかのイメージで観に行ったらさぞかしがっかりすると思いますが。悪魔憑き映画の代名詞と言える「エクソシスト」みたいなんを期待したらバカをみるっつーね。
あと、そもそも悪魔憑きとか超自然現象などを信じない人が観てもおもしろくないと思う。病笑さんはまあホラーを愛しているので幽霊や神魔肯定派です。クリスチャンではないので、エミリーの信念の強さなど半分も理解出来ないでしょうが、素晴らしい女性だったと思います。ただ実際にあった事件だということだからなんとなく納得しますが、フィクションであのオチだったらやるせなすぎてしんどくなりそうだが(笑)。
この映画を作り、人々に観てもらうことによって、悪魔や神の存在が確かにあることを知ってほしいということですが、結局観ても何も伝わらない人もやはりいるってことが悲しいですね。

思った以上に法廷のシーンが多かったですが、実在の事件を丁寧に描く意志があってよかったです。悪魔祓いのシーンも息を飲むような重厚な仕上がり。ただクライマックスらへんの馬小屋のシーンはちょっとゴタゴタしてて観にくかったのが残念。

全体的には確かに地味な印象も受けましたが、この映画にそれ以上のもんを求めているヒマがあったら違う映画を観た方が懸命だとは思います。とりあえず、悪魔憑きに偏見がない、なんにしても「映画が伝えたいメッセージ」をちゃんと受け止められる方はぜひ観てほしいです。(06/4/13)