みなさん、先日こちら の記事で紹介した、本日のNHKスペシャルをご覧になりましたか?
2日間に亘り全州韓屋村での取材が行われたと聞いていたんですが、日本の観光産業との比較がテーマだったので、全州関連の放送時間はわずか2分弱にとどまりました。
「今韓国が新たに仕掛けているのが、ソウルに集中している観光客を地方に分散させること。
無料シャトルバスを運行し、ビビンバで有名な全州をアピールしようというのです。
ドラマや音楽など韓流文化との緊密な連携、そしてターゲットを絞った戦略が韓国の観光を支えています」
2日間の取材に同行・通訳をなさったゲタさん
も登場しました。
ご覧になれなかった方は再放送があるかもしれませんので、今後こちら でチェックしてみてください。
さて、6月1回目の全州の続きを。
南川橋(ナムチョンギョ)を渡って、全州川向うの捿鶴洞(ソハクトン)へ。
向かった先は、女優写真家キム・ジヨンさんが運営なさっている捿鶴洞(ソハクトン)写真館 。
こちらの写真館では、月替わりでキムさんがセレクトなさったいろんな写真家の作品を展示していらっしゃるんですが、今月の30日までは、キムさんご自身が2000年から撮影し続けてきた精米所の写真を含めた <정미소와 작은 유산들(눈빛아카이브)(精米所と小さな遺産たち)>というエッセー&フォトブックの出版を記念した作品展「정미소, 그고 10년(精米所、そして10年)」が開催されていると伺い、訪ねてみました。
日本統治時代である1910年代に、広大な湖南平野での稲作が盛んな全羅北道のあちこちには精米所ができ、収穫した米を精米し船で日本まで運搬しました。
キムさんは現存する精米所を写真に収めようと、2000年から全羅北道を中心に精米所の写真を撮影し始めたそうです。
それから10年経った2011年、同じ精米所を写真に収めようとその地を訪ねたそうですが、建物は残っているものの既に廃業してしまったり、姿を消してしまった精米所もあったそうです。
現在展示されているのは、そんな10年前と10年後の精米所の写真です。
精米所の写真は、日本統治時代を生きてきた方だけでなく、まだその時代には生まれていなかった私たちにとっても、そして韓国人だけではなく日本人にとっても、風化させてはならない植民地時代の貴重な記録と言えるでしょう。
「精米所が無くなってしまっていたら、元あった場所を特定するのが難しいんじゃないですか?」とお尋ねしたところ、「背景の山や他の建物などで特定するんですよ」とのお答え。
プロの写真家の観察力は、やはりずば抜けています!
こちらが写真家キム・ジヨンさんの精米所の写真をはじめ、鎮安(チナン)にある精米所を改装したキムさん運営の写真館での展示作品などを纏めた最新本です。
理髪店主、里長さん、小さなスーパー、ハラボジやハルモニの住む住宅など、古き良き時代とそこに暮らす人々の暮らしぶりを後世に伝えるため、愛情を込めてシャッターを切る写真家キム・ジヨンさんの素晴らしい作品集。
是非皆さんにもご覧いただきたいので、ご興味のある方は書店でお買い求めくださいませ。
タイトル 정미소와 작은 유산들
エッセー&写真 김지연
発行日 2013年4月13日
出版社 눈빛풀판사
価格 29,000ウォン
捿鶴洞写真館については、こちら の記事をご覧ください。
この後、キムさんの案内で、キムさんのお友達がオープンしたばかりだというトッポキカフェにお邪魔したんですが、次の予定があり早々に退散することに。
次回は、美味しいトッポキとレモネードをいただきながら、ゆっくりお話を伺おうと思っています。
この後韓屋村へ戻り、ランチの待ち合わせ場所へ移動する途中、⑦全州工芸品展示館横の特設会場からヘグム(韓国版二胡)の音色が聞こえてきました。
どうやら夜に予定されている国楽公演のリハーサル中だったようです。