武禅館の基本、同時他方向力の突き
これを突き(パンチ)などにも応用すると非常に効果的だということに気付きました。
空手やボクシングなど近代武道、格闘技では一般的に突きを放つ際、親指以外の四本の指は大抵同じ方向を向いているのが常識です。
そこをあえてこのようなバラバラの指の形を作ります。

※赤い矢印は力の方向を示しています。
このように指をあえて揃えずバラバラの方向に構え、且つバラバラな方向に力を向けることが大切です。
本来、相手は突きの力の方向に反発する形で筋肉を固めます。
例えば胸を殴られる際、突きの力の方向に反発するように、胸の筋肉を前にエネルギーを出すことで打撃に耐えうることができるのです。
しかし、このような指の形のまま相手に触れれば、相手は力の所在が分からない為、どの方向に力をかけてよいかが分からず、十分に筋肉を固めることができません。
そうすることで打撃に対する抵抗力を弱めることができるのです。
ここで肝心なのが、相手の皮膚を攻略し、筋肉に到達したなと感じた瞬間に一点に力を集中すること。
力が分散したままでは打撃は全くの効果がありません。
何万回と繰り返した正拳の握り方。
ようやく正しいと思われる握り方を発見しました。
それは丸く握ること。
通常の握り方では、四指の力の方向が一定を向いています。

しかし、これでは力が一箇所に十分に集まっているとは言えません。
発見した握り方はこれです。

中指一本拳にも見えますが、正拳です。
もちろん、相手に当てる部位は正拳と全く変わりません。
こうすることで一箇所に力を集中することができるのです。
このように他方向から一点集中への一瞬の変化が、相手に与えるダメージをより増大させます。
いわば相手の防衛本能を掻い潜る打ち方の為、女性やご年配の方でもある程度、ダメージを与えることは可能です。
武禅館体術は分かりやすく言えば、空手のような打撃、合気道のような投げ技、関節技が中心で、対近代格闘技、対剣術、対武器、対複数、対軍事力などの稽古を行っていきます。
防具をつけてのスパーリングなども行います。
同時他方向の力を実感。
同時他方向の力。
これが武術においては大切な要因の一つではないかと思い、私の主宰する武禅館
では基本技術の一つとして稽古しています。
前回6月4日、甲野善紀先生が講座で名古屋へいらした時、教えてもらったのが、例えば腕で相手を持ち上げるとき、指をバラバラな方向へ伸ばしておくと、すんなりと相手を持ち上げられるということ。
これを自分なりに解釈する。
基本的に人は加えられた力に対して、その方向に対して無意識的に反発力を生む本能がある。
普通の場合は加えられた力は一定方向しかないのだから、反発力も生まれやすい。
そこをあえて様々な方向に力を分散させれば、相手は力の方向が分からず、反発力が弱くなるわけなのだ。
例えば相手に二の腕にぶら下がっている状態で引き上げようとするとき、ただ拳を握って力を込めるのではなく、指を同時他方向(キツネさんの形や、まことちゃんのグワシのような)に形作っておくとよい。
これは鹿島神流に見られる「不動剣」も同じ術理なのだろう。
不動剣とはまず、つばぜり合いの状態から手首を満月に絞りっておく。
「満月に絞る」とは手首を内側に巻き込んでおくことだ。
そして、膝を曲げながら身体を下に沈み込ませつつ前進する動きと、巻き込んだ手首をほどいていく動き、そして刀を横に倒して相手の刀を制する動きの3つを同時に行う。
これが不動剣だ。
力の方向を分散すれば、相手は力の所在が分からず幻惑される。
これは空手の突きなどにも応用できるのではないかと思った。
次号にて同時他方向の力を応用した武禅館の基本技術を載せます。
写真は甲野善紀先生と記念に一枚撮っていただきました。
ありがとうございます。
また10月17日に名古屋にいらっしゃるそうです。
甲野先生の講習会は山口潤先生の主宰するカラダラボ にて受け付けています。