1万円の美容液を50円に値切られた話(フリマは修行だった)

昔、一度だけフリーマーケットに出店したことがある。  
場所は埼玉県の某広場。人も多いし楽しそうで、「これは掘り出し物好きの人が来てくれるのでは?」とワクワクしていた。

結果から言うと、私はこの日を境にフリマを卒業した。

まず、商品を見に来た人に言われた一言。

「これ、がらくただね。」

(……がらくたなら見なくてよくない?)

と心の中でツッコミつつ、私は営業スマイルを続けた。大人なので。

さらに、途中で商品が一つ消えていた。

どうやら盗まれたらしい。

フリマってワイルドな世界なんだな、とその時初めて知った。

そして、この日のハイライト。

私が出していた美容オイル。  
新品だと1万円くらいするもの。

それを見た50代くらいのおばさんが近づいてきた。

「安くならない?」

フリマだから、多少の値引きはいいかなと思った。

しかしここから、怒涛の値下げ交渉が始まる。

「200円は?」  
「100円は?」  
「じゃあ50円!」

……。

1万円 → 50円。

株価でもここまでの暴落はなかなか見ない。

私はだんだん疲れてきて、「もうこの交渉を終わらせたい」という気持ちになってしまった。

そして結局、50円で売った。

家に帰ってから思った。

「私はいったい何をしていたんだろう。」

フリマとは、物を売る場所なのか。  
それとも人間修行の場なのか。

おそらく後者だと思う。

というわけで私は、この日をもってフリマを引退した。

ちなみにその後、ネットで物を売るようになった。

そこには平和な世界が広がっていた。

少なくとも、

「1万円の美容液を50円にしてください」

と言う人はいない。

今のところ。