リップヴァンウインクルの花嫁』DVD鑑賞
ちなみにリップヴァンウィンクルとはアメリカの小説の名前とその登場人物の名前だそうだ。
曖昧さからの回避」という意味。
原作はすでに岩井俊二監督の著書で読んでました。
の今までの作品の「スワロウテイル」や「リリィシュシュのすべて」はどれも個性的でいつまでも記憶の底に深く深く残る作品ばかりでした。
それぞれに音楽が流れていてcharaであったり、salyuであったり。
今回は出演しているCoccoの歌声も聞けるが全編にピアノの曲が流れている。
何といっても黒木華の存在がこの映画のすべて。
久しぶりのCoccoは以前のような危うく折れそうな印象とは違い、
たくましく、華やかでありながらそこはかとなくさびしい。
綾野剛も正体の分からない男の役を軽くうまく演じている。
そして最後の僅かの出演にもかかわらずリリィの演じる真白の母親役がすごい!
娘の突然の死を前に、「遺骨はその辺の川にでも捨ててくれ」といいながら、実際にその遺骨を前に娘を偲ぶ姿は圧巻。
彼の作品にはいつも「人の心のさびしさ」が漂っている。
無垢なゆえに、悲しくさびしい。
何を持っても満たされないさびしさがある。
ねじ曲がって汚く生きられないからこそ悲しい。
どんな人もそれぞれの持つ記憶の中に閉じ込められていて
同じ経験をしたからといって、それぞれがわかりあうなどということはありえないのだ。
ありえないと思うからこそ、一時の一緒の時間もまたいとおしい。
その人とのその時間がまた
それぞれの違う記憶の中に重ねられて
また積み重なっていく。
ストーリーを知っていたにも関わらず
やはり映画の持つ「空気」に染められて
またも記憶の底に残る作品になりました。