~マカチェフショック
いま海外の柔術界では、イスラム・マカチェフのこの発言が大受けしています。
マカ「チャンドラー、ゲイジー、ポワリエ、みんな寝技全然ダメじゃん」
— 岩井洋一(柔術新聞&ジャズギター) (@busujiujitsu) October 24, 2022
DC「ポワリエは黒帯だぜ笑?」
マカ「だってあいつ腕取って前に回ってたよ(ホロウェイ戦?)。誰が黒帯あげたの?ファクトチェックしなきゃ。もう実力無いヤツは柔術黒帯とか取り上げたら?柔術が弱く見えちゃうよ」
DC「笑」 pic.twitter.com/RHJFnHBMPg
別にバカにされて怒るというより、みんなマカチェフの強さリスペクトしてるので、「さもありなん」というリアクションが多いのですが、そんな中でクレイグ・ジョーンズがかなり筋道立てて同意していたので、紹介したいと思います。
「マカチェフの『柔術黒帯を取り上げちまえ』ってやつ、あれは理解できるよ。マカチェフ達がやっていることは、俺らが長い間やってきたこと(つまり柔術)よりも優れている。
なんでかって言えば、柔術は下のポジションを取ること中心に競技全体が構築されてるからだ。
オレは『打撃に対しても柔術で対抗すべき』ってタイプの人間じゃない。けど『トップポジションにいるヤツはパスの仕方を知ってる』と思って寝技やるべきと思ってる。
ほとんどの柔術家は、下になることを嫌がらない。なぜならヤツらはガチでパスガード強くて、ピンする方法を知っている人と一緒にロールしたことがないからだ。
だからそれがどれだけヤバくて恐ろしいことか知らないんだよ。
ガチでパスがヤバイ野郎に出くわすまで、みーんな『自分はガードが上手』と思ってやがる。
そしてそういうのに出会うと、コロっと『こりゃスタンドの方がマシじゃね?』ってなる。むしろ『トップ取りたい』ってな。
けど、そこまで行くことなんか誰もできない。
万一できたとしても、抑え込めない。
マカチェフのグラップリングは、ほとんどの伝統的な柔術選手より優れてる。
柔術家は誰かを倒して抑え込む方法を知らない。
ヤツらどうして良いか分からないんだ。
だから、オレが上でやろうとしてきたことをリバースエンジニアリング(市場に出てる製品を分解したりして改めて構造を調べること)する必要があるんだ」
クレイグの言う「パスの仕方知ってるやつ」というのは、IBJJFでパス得意な人とかの話ではなく、ゴードンとか、それこそヌルマゴとかマカチェフレベルのことで、ほんと天上界の話ではあると思うのですが、ヴォルカノフスキーの寝技コーチとしては、世界最上級レベルのことに対処しないといけないのでしょう。
レアンドロ・ロのパス防ぎ切って上取ったクレイグが言うと、なんというか言葉の重みがヤバイです。
そしてこの姿勢、Bチーム全体でも感じますよね。
既報の通り最新のADCCは、イニシエの総合格闘技よろしく「下になったら負け」という大会でした。
もちろん下を軽視するとか、そういうレベルの話ではないです。
現に柔術開始まもなくでゴードンよりデカかったニクロドさんですら、ちゃんと下になる状況を想定して練習してましたよね。
ちなみにニクロドさんはボディビル歴10年以上。柔術始める前の方がバキバキという。
人気のニクロドさんを無理矢理割り込ませたところで話題を戻しますが、少なくともノーギグラップリングでは、「いかに上を取って、相手を下に釘付けするか」」が最重要のテーマとなってくるのではないでしょうか(柔術的思考では『下で釘付け』なんて当たり前のように思えますが、ガードやらないで立つ戦法がノーギでも出てきているので、今後困難になる可能性が)。
2000年初頭くらいまで言われていたセオリーが、ノゲイラを、またベリンボロや様々なガード優勢を経て、還ってきた感がロマンあります。