第一回「秋山真之」を語る(後編)
前回の全編では、「秋山真之」の人物概要を記載したが、今回は「何を学び活かすのか」を語る。1.「秋山真之」から、学ぶべきポイント①目標、目的を明確に定める力 青春時代は様々、自身の将来や、何をすべきかに悩んだ時期があるかと思うが、 結果的に海軍に入り、作戦参謀となり、ロシアを仮想敵国とした日露戦争での 勝利が「秋山真之」の人生最大の目標、目的となる。 対ロ戦の海軍の戦略、戦術立案を「一生涯の大道楽」と言っていたという。 この自身の仕事を「大道楽」と言ってのけるところが、「秋山真之」の本当の強 さなのではないかとも思ってしまう。 ただ単に楽しいということではなく、自分自身の能力を公のために使う事の 使命感、心の底から湧き上がる充足感を感じていたのではないだろうか。 それを「大道楽」と言っているところに面白さがある。 しかし、日露戦争後は、自身の作戦で多くの人々が死んでしまったことへの 深い悔やみがあり、仏門に入ろうともした。 戦争という地獄の世界の中で見た、多くの人間の死から、生死について、また、 様々な奇跡もあり、日本海海戦はパーフェクト勝利を収めることができたのだが、 奇跡というものが何か超自然的な力の働きと考え、宗教の世界を研究対象としよう としたのではないだろいうか? 目標、目的もクリアした後、または達成できなかった場合、当初の目的自体が 意味の無いものに代わっていることもあるだろうが、再設定をどのように行って いくかも重要なことであろう。 仕事一筋に生きてきたサラリーマンが、定年後に燃え尽き症候群で何もすること が無くなり、アルコール中毒に陥る人も少なくないようだが、人生百年時代、 目標を再設定する力や、複数設定することも必要であろう。②選択と集中、集中力の凄さ(凄まじさ) 目標、目的を定めることができれば、それらに対し、意味のあるもの、無いもの を大胆に取捨選択していくことが必要である。 「秋山真之」の場合、その選択と集中、また集中力というものが凄まじく常人の 域を超えている。 「前編」でご紹介した、作戦を練り始めると入浴せずに数日過ごす、や身なりを 全く気にしない、などは戦略、戦術に不要なものととらえ、捨て去っているゆえ である。 人前で放屁を平気でしていたのも、思考に没頭しすぎて、自身でも気づかず、 音がなってその時に気づくといったありさまだ。 普通の人間はそこまでの集中力というものは出来ないと思うが、 「選択」の部分で、不要なものは大胆に捨て去る、ということは実践可能だろう。 「人の頭には上下などない。要点をつかむという能力と、不要不急のものはきり すてるという大胆さだけが問題だ」と、「坂の上の雲」に「秋山真之」の言葉 が出てくるが、まさに、一番、必要なことは「大胆さと勇気」ではないだろうか。③様々な事象から物事の本質、要点、ルールをつかみ出す力 海軍兵学校を主席で卒業した真之は、学校での試験問題の多くを事前に予測・ 的中させたという。それは、過去問題からの傾向、または出題する教官の性格や 思考法も加味して、導き出したようだ。 また、日本海海戦で立てた作戦も、古今東西のありとあらゆる、戦略、戦術の 実例や書籍を読み漁り、その中から要点や本質をつかみ取り、彼自身の中で組み 立てなおす中でできたものらしい。 普段、私たちも人生や仕事において、様々な成功体験、失敗を繰り返し、その中 から、何かしらの法則性や、共通ルールを見出し、次に活かすということ無意識 にやっているかと思うが、「秋山真之」の場合は、参考にする情報量の多さと、 要点をつかみ取る力、また前述した「不要不急のものはきりすてるという大胆さ」 というものが尋常じゃなかったのだろう。2.どのように活かすのかさて、「秋山真之」論はいかがだっただろうか?今、振り返れば、若いころからこの「秋山真之」の生き方に大きく影響を受けており、意識、実践してきたおかげで、成長し、実績を出せてきた部分もあるかと思う。試験勉強の類は、とにかく過去問を中心に勉強をしクリアしてきたことは、まさに実践してきたことであるし、営業業務では、「目標」を明確に定め、「選択と集中」によって、「やるべき事、やらない事」はっきりと分けてきた。※周りを見るとこれが出来ない社員が意外と多い。お人好しな人ほど、なんでもやろうとして、全て中途半端にし、ダメになるというパターンも多く見てきた。また、提案を考える際は、他の事例はどうか、事例から読み取れる成功ルールは何かを意識し、適用し、実績を出したこともある。私は今後、企画職で営業としての戦略、戦術立案担当となるのだが、上記にあげた3点は、非常に重要な能力と捉えており、これまでも「秋山真之」に「お世話」になってきたが、これからも、一層、「秋山真之」から学んでいきたい。