金曜夜8時!!プロレスリングの時間
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金曜夜8時は闘いのワンダーランド

関口宏が出る。

「ちょっとお知らせ♪」と。

覚醒剤滅亡キャンペーンなどが画面に出る。


そして・・・・・・・


あのテーマソングだ。

猪木がガッツポーズでマイクで怒鳴っている。

一体何があったのか!?


金曜夜8時は、毎週事件の連続だった。

古館伊知郎が、絶叫している。

何か、凄まじい大事件が起きている!!


「猪木が国際部隊に拉致されましたッ!!」


な、何ィ~!?


エライことだ。


私は、画面に向かって、半狂乱で怒鳴りまくった。


「国際軍団をぶっ殺せ!!」

「あんな外道ども、逮捕しろっ!!」


しかし…。


翌日の新聞には、この事件の事は全く持って触れられていない。


「なんで!?あんなに凄い大事件が起きたというのに…」


あれから20余年…。


今、金曜夜8時のテレビ欄に、「プロレスリング」の「プ」の字もない。

否、全時間帯にて「プロレス」の文字を見つける事自体、至難の業である。

砂場で米粒を探すようなものである。


一体、なぜ、この様な事になってしまったのであろうか…。


私のオヤジは、毎週の如くプロレスを観ていた。

あの血だるまの猪木を、狂気のシンを、幼稚園の私は嫌でもトラウマとなって目に焼き付いてしまっていた。

プロレスを観るのが怖くて怖くてたまらなかった。


それは、心霊番組や水曜スペシャルの手術特集やGメン75を観るのと同じ感覚だった。


怖い…しかし観たい!!


今、あの頃の怖さ、緊張感、リアリティがプロレスにあるのだろうか!?


あの頃のプロレスは紛れも無く「大人の番組」であった。

コドモである私は、プロレスを観る事自体、タブーに近かった。


「早く寝なさい」


そう、良い子は8時に寝る時代である。


しかし、結局、オヤジが観ている側でいっしょに観ている。


暗く、陰惨な雰囲気だった。

殆どが流血戦であった。


あの、子供にとっては、パンドラの箱を開けたかのごとくの世界が、当時のプロレスにはあった。


全員集合の前半が終わると、チャンネルはギザギザ傷から絶え間なく溢れる血を舐めるブッチャーのアップへ・・・・。


母親は決まって「いやだー」とその場を去った。


確かに、一家団欒の場は、プロレスに限ってはなかった。


テレビの前に残るのは、決まって男衆であった。


だが、プロレスはあの時代、世間話のテーマに立派に成り立っていたのである。


私はガキだったから、学校でしかわからないが、恐らく会社などでも「おい、昨日のプロレス観たか?」という会話は、多く聞かれたに違いない。


そういう時代に、プロレスが戻る日は、もう永久にこないのであろうか・・・・


(つづく)