「知恵があれば、苦労せずに裕福な暮らしができるのに。

力があれば、他をねじ伏せて名声を得られるのに。

技術があれば、スターになれるのに。

でも僕には何もないから、地道に頑張るしかないんだよね。」


と、彼。

私は悲しくなる。


あなたにもし知恵が、力が、あるいは技術があったとして、

裕福な暮らしだったら、名声をもっていたら、あるいはスターだったなら。

私はそんなあなたを好きにはならなかっただろうし、出会うこともなかった。

そんなあなたなら、もう、あなたじゃない。


あなたには自信がないの。でも自信を持たせてあげられないのも私で。

あなたの良さを伝えることのできる言葉が、手段が、私には、わからないの。


あなたは自分にないものを必死で追いかける。

完璧でなくていいのに、完璧を追い求めてしまう。

あなたは自分のことが大好きだけれど、

なりたい自分になれないあなたを、自分自身が否定してしまっている。


人と比べなくてもいいんだよ。今のままでいてほしいの。

私の目に映るあなたはとても素敵で愛しいの。