「私の足がなんでこんなに冷たいかわかる?」って聞かれた。
最初は何かの暗号かと思った。
でも違った。
僕はその人のことをちゃんと見ていなかった。
だから「なんで冷たいのかわかる?」の問いかけに対応できなかった。
「布団かけずに寝てた?」
「窓開けて寝てた?」
「洗濯物干すのに時間がかかったから冷えた?」
こんなありきたりな事しか頭に浮かんでこない。
結局答えは違ったんだけど。
「靴下嫌いだから、脱いで過ごしてたら冷たくなった」
これが真相。
でもたぶん真相に行き着いて欲しかったんじゃないと思う。
もちろん真相に辿りつけることに越したことはない。
「私は靴下が嫌いだから履かなかった。だから足が冷たくなった。」
「今は健常者だからいいけど、もし認知症になったり介護が必要になった時、同じことをしてたら靴下を履かされると思う。」
「家族も介護者も、冷えたらいけないからって靴下を履かすと思う。」
「オムツだって一緒。失禁したら、失禁しないようにオムツをつけられる。本人の気持ちは置いといて。」
「だから利用者さんの抱えているいろいろな想いに気づいてあげて」
これ言われた時、心にガツンときた。
相談員何年やってんだって。
健常者の気持ちすら気づけないのに
要介護者や認知症の方の気持ちに気づけるのかって。
芯が無いとかいうレベルじゃない。
知識だけを、うれしげに知ったげにひけらかして
蓋を開けてみれば利用者さんの気持ちなんて何一つわかっていなかった。
いや、わかろうとしてなかったのかもしれない。
相談員失格だ。