藤沢周平著「漆の実のみのる国」を読み終えました。 上下に分かれた文庫本で、読み終えるのに結構時間が掛かりました。

 

この小説は藤沢さんの遺作となっていますから、最後のところは何となくそれを感じさせる終わり方です。

 

小説、(と言いましても、ほぼ歴史上の事実に基づいた内容ですが)の舞台は、1760年から70年代の米沢藩の財政改革施作に関する内容になっていまして、上杉鷹山の藩主就任前後から物語は始まっています。

 

この米沢藩という藩は、江戸幕府誕生の反発を正にまともに受け、元来百二十万石だった上杉家が、1601年に会津から米沢三十万石に減知・転封されますが、その後1664年には、藩主急逝の余波で、そのまた半知十五万石へと減石されています。

 

つまり元々の藩地から八分の一に成ったのですが、藩は家臣の召し放ちを行わなかった為、人件費過剰による財政の慢性悪化をもたらすこととなっています。

 

そのようなことから、この小説の内容は、ほぼ99%が逼迫した財政を抱えての藩の苦悩が描かれていまして、読んでいてわたしまで暗く落ち込んで行くような感覚に囚われます。

 

わたしの場合は小さな商売をしていますから、そのような経営上の深刻な事態の連続には、どうしても自分の身に置き換えてみて、その結果、あがらえない暗雲に頭を押さえ付けられているような気分になってきます。

 

商売と言うものには、常に不安が付きまとっていまからね。

 

幾ら調子の良い日々が続いても、次の年には何が起こるか、一寸先は誰にも想像の出来ない世界ですから。

 

この小説内のような、回起不可能なような事態は、小さな商売に限らず、どのような大会社でも起こりうることなのでしょうが、特に大型店の間で揉まれている小さな商店としては、正に身につまされるような感覚を覚えます。

 

高校生当時から、品物の配達や、商品の加工などの家業を手伝っていましたが、(それが嫌で、部活以外にも毎日学校の図書室に籠っていましたが)どうも商売というものには馴染めず、父の思惑に逆らって、大阪にて就職することを無理矢理納得して貰いました。

 

父より母が先に賛成してくれたことが大きくて、有難かったですね。

 

ところが大阪で9年弱働いて後、やはり長男としては店を継がねばとの思いに至り、慣れた職業を辞めて今に至ります。

 

大阪で働いていた当時は、本当に無茶苦茶に忙しい職場でしたが、お金の計算をしなくて良いということは、今考えても大きな大きな得難き事でしたね。

 

頭と体を酷使していれば良いのですから、若い頃は一晩寝ればほぼ元道理になりますし。

 

今考えてみても、良き年月を過ごさせて貰ったものだと思っています。

 

しかし商売を継いでからの53年間は、特に父の後を継いで経営者になってからは、毎日経理のことが頭を離れることが有りませんね。 

 

上杉鷹山は増え続ける借財に翻弄され続けた生涯のようでしたが、小説は、僅かな燭光が見えるか見えないかという所で終わっています。 (小説後の鷹山の一生については、わたしは知らないのです)

 

本を読み終え、一方のわたしの物語も、もう最終章へ差し掛かりそうなのですが、小説内の鷹山さんよりは、少しは良い方向へ行って終わりたいものだと思っているのです。

 

 

可愛いビオラです。