今野敏著「隠蔽捜査」を読み終えました。 この小説はなかなかに面白いものでした。

 

読み始めて最初の方は、「隠蔽捜査2」の内容と同じで、主人公の人物説明が多くて面白くは無かったのですが( この点は、2から先に読み始めたわたしの方に原因があるのですが )或る事件が起きてからは、徐々に面白くなって行きました。

 

この作品は吉川新人賞受賞作品ですが、一般に新人賞作品に見られる硬さのようなものは無くて、むしろちょっとエンタメ性さえ感じさせるような、柔らかさを感じさせる内容になっていました。

 

そしてそのような所は、むしろ後編の「隠蔽捜査 2」よりも、柔軟な幅の広さを感じさせる作品になっているのです。

 

この作品の面白さのエキスというものは、東大出のエリート、キャリア警官の、仕事上また家庭内の苦悩と言うものを、わたしのような庶民が上から眺めている快感、そのような所に在るようにも感じます。

 

そしてまたその主人公は、読者の期待以上の意思を貫いて、結末へと怒涛のよう走り抜くのです。

 

 

先日写真を載せましたが、この本の表紙には警視庁の建物が写っています。

 

わたしから見れば新しい方の建物ですから、娘に「この建物はワシが知ってる方じゃないな・・」と言いますと、「この建物も随分昔から立ってるよ、わたしが高校の修学旅行の時、観光バスで横を通った時はもうこの建物だったから・・・」と言います。

 

そうしてみると、改めてわたしが古い人間だと解ります。 わたしは高校を出て大阪で9年程働いていましたが、東京出張も何度もありました。

 

そして東京出張の大部分は、霞が関付近への用事であることがほとんどだったのです。

 

東京では飯田橋付近の決められた安いホテルに泊まり、地下鉄で霞が関まで通っていました。

 

飯田橋駅が近いですから、神楽坂の付近で屋台のおでんを食べたりして、その時初めてがんもどきと言うものを知りました。

 

関西ではおでんのことを関東炊き(かんとだき)と言いますが、がんもどきは無かったのです。

 

隣の客が「がんも」と言いますから、わたしも真似てがんもを食べましたが、以外にもそれは何故か田舎を思い出すような味でした。

 

昭和43年から45年位にかけてのことですが、イクラも東京のホテルで初めて食べました。

 

当時大阪の食堂では見たことも有りませんでした。(わたしの行く食堂ですから、その格は知れていますが)

 

最初にイクラが何かの小皿に乗っているのを発見した時は、「オッなんじゃこれは?」と思いましたが、直ぐに「あぁこれが名前だけは聞いたことの有るイクラか~~」と納得して、さも昔から知ってるかのように何気ない顔で食べたものでした。

 

霞が関の、自治省などは懐かしい場所ですが、当時良く警視庁の横の歩道を歩いていたものでした。

 

テレビドラマ「7人の刑事」に出てくる古い建物で、正面入り口の方は知りませんが、向かって左側の横の入り口前を通ると、警察の人が長い棒を持って、門番のように立っていました。

 

別に悪いことをした覚えは無いのですが、何となく足早に歩いたものです。

 

横の出入り口から建物の中をチラッと見たことも有りますが、当時の古い建物は中が暗くて何も見えませんでした。

 

大阪からの行き帰りは、当時まだ珍しい新幹線に経費を使って乗りまして、揺れる車内で苦労して報告書の下書きなどを書いていたものでした。 (座席の前の小さなテーブル状の板では、揺れが激しく何も書かれませんでした)

 

当時東京から大阪へ帰ると、あぁ大阪はのんびりしていて良いなぁ・・、と感じたものです。

 

東京は当時の大阪に比べると交通網がとても複雑で、大阪から出かけた田舎者は右往左往することが多かったのです。

 

警視庁の写真から、ついつい昔のことを思い出してしまいました。 

 

「隠蔽捜査」の本の中にも、飯田橋、神楽坂、地下鉄、それに当たり前ですが霞が関が出て来ますから、懐かしかったのです。