しばし立て込んで日にちが開きましたが第11回目です。

さてさて、今回の本も超おすすめです!!

この本以外は意外に知られていない作家さんです。

でもいいものはいい!!



ワセダ三畳青春記
高野秀行
集英社 

~紹介文~
三畳一間で家賃一万二千円。
作者である高野秀行の青春時代はその部屋を拠点に展開された。個性的な同アパートの住人達や大家のおばちゃん、そして探検部の愉快でぶっとんだ仲間達とバカ丸出しで送るおかしな大学生活。そこで語られる思い出話の内容は、これはホントに実話なのかと疑いたくなるような危ないものから、思わず涙を誘われる感動話まで盛りだくさん。よくある貧乏自慢の自伝とはかけ離れた、感動と爆笑を伴う青春物語。思わず大学生をもう一度やりなおしたくなること間違いなし!










これを読んだのはちょうど旅行中の電車の中のことでした。

普通電車を乗り継いで地元までかえる帰省の旅だったのですが、そんな青春クサイ旅のお供には最高にうってつけの本でした。

うぉ~青春だぁ~って感じです(笑)


内容は貧乏大学生の苦しくとも馬鹿みたいに楽しい生活をその当事者の目線で描いた実話の物語です。

ただ、普通の自伝的小説とは違って、本当におもしろい

どの話もおかしくて切なくて、あったかくて、あぁこんな大学生活を送りたかったんだ!!ってものばかり。

人とのつながりに恵まれているだけで、お金なんてなくてもここまで充実した(ものすごくくだらないのだけど)愉快な生活が送れるのだなと、心底感心させてくれる物語です。(だってこれが実話なんですもの!!)

あとこの本にでてくる友情話もちろん最高にいいんですが、後半で語られる作者に訪れた「遅すぎる初恋」の話がまたすごくいい!!

こんな風に不器用に、真剣に誰かを好きになれたらどんなに素敵だろう!誰もがそう思えるだろう(思って欲しい!!)これぞ純愛と呼べる恋の話です。


実はこの本をボクは、結構前に読んだので詳しくは内容覚えていないのですが、その読み終わった後の爽快感と、自分も青春するぞ!!と奮い立った興奮は未だに思えています。多分今年の夏の旅にも、この本を連れて行くでしょう。


青春ってどんなのだっけ?と聞かれたら、

こんなのです!と自信を持ってこの本を薦められます。


あなたの青春のお供に!!
さてさて、なんとついに10回目を迎えました~!!

何事も積み重ねるという行為は楽しいものですね!

たまにはタイムリーにさきほど読み終えた本でも紹介いたしましょう。

いやはや、この本も素敵でした。

では、いきましょう!記念すべき10冊目!!


デッドエンドの思い出
よしもとばなな
文春文庫

~紹介文~
つらく、切ない過去を持つ女性たちが、それぞれのきっかけで『過去』を見つめなおし、『今』ふいに訪れた幸福に、心が澄み渡る瞬間を描いた五篇からなる恋愛短編集。すっと読者の心にしみこむ透明感あふれるキュートな文体で、自分の中にある切なさまでも一緒に溶けていったような、そんな不思議な爽快感を伴う読後感はたまらない。キレイごとばかりを並べずにリアルを追求した物語造りが、小説と現実の狭間をもすら打ち破る感動を生む。作者よしもとばななをもってして、自分の作品の中でいちばん好きと言わしめた作品。












僕は今まで女性作家さんは比較的苦手としていたですが、最近ではちょくちょく手にとるようになりました。

よしもとばななさんも友人の女の子に紹介されて本を手に取った作家さんのひとりです。

キッチン』を初めて読んだときも、なんとも言えない衝撃をたしかに受けたのですが、今回この本を読んだ時ほど、そのときはまだ彼女の文章の何が自分に感銘を与えたのかはわかっていなかったように思えます。

今回、二冊目にしてようやく、よしもとばななさんの文章のすごさがおぼろげながら掴めてきた気がしました。

それは、『文章のやわらかさ』です。

陳腐な比喩のように捕らわれてしまうかもしれませんが、彼女の文章のすごさはそこだ!と今回思いました。

彼女の文章はひらがなを必要以上に大事にし、多様し、文章に丸みを帯びさせています。そして、いたるところで目に付く可愛らしいものの言い方が、リアルである意味痛々しい現実的な物語を丁寧にオブラートに包み、読者にあたたかい陽だまりの中で、最後までその物語を読ませることに成功しているのです!!


・・・いまいちわかりづらいですね。すいません(笑)

たとえばこの本では『宙ぶらりん』という言葉が使われます。しかも台詞などではなく普通の文章中に!!なんとも可愛らしいひびきでしょう。

こんな言葉たちがたくさんページのいたるところで輝いているのです。

切ない状況にある語り手の健気で純粋な少女がなんともひきたつことでしょう!!

あと前々から思っていましたがひらがなが人に与える印象のやわらかさはすごいです。

『可愛い』と『かわいい』どっちがカワイイですか?(笑)

よしもとさんがひらがなを故意に使って、武器にしているのは彼女が『よしもとばなな』としているところからも感じますね。元来ひらがなは平安時代から女性の言葉でしすし、その言葉を女性のよしもとさんが使うのは鬼に金棒でしょう(笑)かわいい文章にならないわけないです。


そんなわけで、なんか、かわいいかわいいとしか言ってない気がしますが(笑)とにかく彼女の文章力、そしてそれをうまく使いこなして描き出すリアルな世界感は、世界も認めている才能です。今更ボクがどうこう言えるものじゃないですよね(笑)

物語の内容的にも、重いテーマを扱っているものもあるわりにはとても読みやすいです。

ぜひ、少し沈んだ気持ちの時にでも手にとって見てください。やさしい文章で癒されること間違いなしです。



かわいくて、やわらかい、きゅんと切なくて、そしてあったかい。是非読んで体感してください!
一人暮らしで風邪をひくとタチが悪いですね。

早く完治させなければ!!

好きな本のこと考えて元気になりましょう!

てなことで第九回目です!!



夜のピクニック
恩田陸
新潮社

~紹介文~
夜を徹して学校までの80キロの道のりを、全校生徒で集団歩行するというイベント『歩行祭』。主人公、貴子は高校最後となるこのイベントに、ひとつの決意と共に参加していた。じれったいほどの早さで動き出す小さなドラマと、あっという間に終わりが迫る歩行祭。読み手に小さな興奮を持たせたまま、物語は着々と終局に近づいていく。スタイリッシュな文体と、透明感のある描写で、青春の一片を淡く、繊細に切り取って見せる恩田陸の並外れた筆力が唸る。甘酸っぱくてもどかしい、忘れかけてた懐かしきあの頃のすばらしき思い出をやさしく蘇らせてくれる、そんな幸せを運ぶ爽快感100%青春小説。










この本を読んだのはボクが高校生3年の時でした。

そう。まさにこの本の主人公と同じ年齢の時にこの本を読めたのです!

読み終わった後、ボクはこの小説を、この年齢でタイミングよく読めたことに、心の底から感謝しました。そして、自分にもあと少しで訪れる高校時代の終わりを実感させられ、とりとめもないほどの切ない気持ちになったものです。


たしかに、ボクはこの本をその時期に読んだので思い入れが強いのかもしれませんが、本屋大賞をとったこの本は、やはり広い世代の人たちにも、大きな感動を与えたようです。だって、ホントにいい本ですもの!!

内容についてはあまり書かないほうがいい小説なので、感想を書くのはとても難しいのですが、物語の軸となる主人公、『貴子の胸に秘めたひとつの賭け』がわからないドキドキの前半と、実行に移せぬまま終わりに近づいていってしまうハラハラの後半、そしてイベントの最後と共に押し寄せる哀愁や切なさ、あったかさで迎えるラスト。もう、最高のエンターテイメントです!とだけ言っておきましょう!!読後の爽快感はたまりません!!

短い歩行祭の間に本当に数々の出来事が起き、最後にはそれが一通り気持ちがいいように決着が着くのも爽快感の大きな一因であります。そこは、ミステリ作家としてもすばらしき作品を数々造りだしている恩田陸さんらしき、見事なまでの構成力だと思います。感服です。


ページを捲り本が終わりに近づく焦燥感が、貴子の歩行祭の終わりに近づく、もしくは高校生活の終わりに近づくそれと驚くほどマッチしていって、最後に読者に訪れる数々の感情は、きっと自分の青春時代を鼻先に蘇らせ、そのほのかに甘い香りに胸焦がれてしまうことでしょう。

そして、あったかい幸福感に包まれることは間違いありません。


誰もが経験したことある淡く切ない懐かしきあの日々。大きな哀愁感と共に押し寄せるそれは、きっとあなたに忘れかけていた大切なものを思い出させてくれるでしょう。


この本を読んできゅんとなってみてはいかがですか?

切ないほど美しいともっぱらの評判の本はこちらです。
こんばんわ。ぶんちゅうです。

このブログに☆の数などで本の採点がないのは、ここで紹介する本は全部5つ☆だからです。

流行や読んだ日など関係なしに、大好きな本をマイペースで紹介しております。

そんなかんじで第八回目!!



娼年
石田衣良
集英社

~紹介文~
どこか冷めたクールな大学生リョウが、ある日突然『娼夫』として働くことになり、さまざまな女性を相手に仕事をしていくうちに次第に成長していく姿を描いた、一風変わった恋愛小説。ベッド上で見せる女性達の欲望や美しさ、年齢ごとに異なる輝きや苦悩を、身体を介して知ることで、リョウはその奥深さと不思議さにのめりこんでいく。繊細なタッチでやわらかく暖かく、確かな質感とぬくもりで女性達を描いた、石田衣良、出色の恋愛小説。









石田衣良さん、最近ばんばん本を出されて、さらにいっそう大活躍されてますね。

彼との出会いは他でもない『池袋ウエストゲートパーク』でした。このシリーズは文庫版が出るたびに今でも買っております。最高にクールなシリーズです。

14フォーティーン』で直木賞を取ってからというもの、石田さんの人気はさらに拍車がかかり、現在ではメディア露出もきわめて高い、人気作家さんとなっておりますね。人柄も素敵です。


さて、さて、この本の紹介をしていきましょう。

この本はボクは高校生最初の夏に読んだのですが、それはもう、興奮しましたね(笑)十代から七十代の女性を相手にする、主人公のベッド上での鮮明で細かくリアルな描写が、あの頃のボクにはものすごく刺激的だったのです。

こう書いてしまうと、官能小説まがいのただのエロ小説だと誤解されてしまうかもしれませんね。でもそうではありません!!この小説のすごいところは他にあるのです!

この小説の秀逸な点、それは男性視線からの女性の描き方です。

まぁこの小説に限らず、石田さんは女性の描き方に定評のある作家さんなのですが。

この本では、様々な欲をさらけ出す数々の女性客たちが、まったくの偏見や哀れみなどなしで、主人公の暖かくやさしい、愛情に満ちた視線で描かれているのです。

若い女性は若い女性の、高齢の女性は高齢の女性のもつ美しさ、可愛らしさを、石田さんの透明感のあるやさしいタッチの文体で繊細に描かれています。

それに、主人公の20歳という不安定で変化に富んだ年齢独特の、物事の考え方や、感じ方もうまく表現されており、結末までに描かれる彼の成長も、見所のひとつといえます。

石田さんの文章を読むと、「やっぱり文章は人間性が表れるな」と改めて実感させられます。

それだけ、彼の文章からは、彼の人間味あふれた、やさしく暖かいものが伝わってきます。

内容が内容だけに、女性は手に取りにくいかもしれませんが、実はこれは女性にも大いに読んでもらいたい本です。「あぁ男の人ってこんなふうに女性をみてくれているんだ」と新たな発見があるかもしてませんよ。

先日この続編にあたる『逝年』も発売されたことですし、まだこの本を読んだことのないひとは、この機会にこの本から手に取ることをお勧めします。


石田さんのやさしい文章に癒されましょう
風邪が案外ツライぶんちゅうです。

頭ぼーとする~。

こんなとき健康第一を思いしらされますわ。

さて、第七回目です。

鼻声でおとどけ~(笑)



夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦
角川書店

~紹介文~
サークルの後輩である天然癒し系の黒髪の乙女に恋した男子大学生が、彼女を追ううちに様々な出来事に巻き込まれるという青春恋愛小説。森見登美彦独特の美しい文体が、キュートな黒髪の乙女を可憐に演出する。計四つの章からなっており、章を重ねるごとに乙女の心の水面下でゆっくり発展していく先輩男子大学生への想いが、読者を微笑ましいほど暖かい気持ちにさせてくれる。ちょっとだらしなくい先輩の一途な恋心も清清しい。ありそうでなかった素敵な恋愛小説。










この本は少し有名すぎたかしら(笑)

山本周五郎賞をとり、本屋大賞2位ダヴィンチBook Of Year第1位直木賞候補と、各メディアが散々とりあげた本ですものね。

このキレイで目を引く本の装飾も、かなり売り上げの向上を助けたことでしょう。

しかし、周りの本好きの間では「なんか読んでみてがっかりした」なんて声も聞きます。

前評判が余りにも高すぎたがためにそういう人が出てくるんでしょうね。

内容的にも余り斬新でもなく、大どんでん返しがあるわけでもなく。文体的にも、普段使わない言葉や言い回しが数多く出てきてクセもあるので、本来読み手を選ぶ小説でしょうしね。


しかし、しかし!!評判だけじゃないんです!やっぱりこの本、そして作者の森見さんはすごいんです!!


彼を知ったのは高校時代で『太陽の塔』を読んだのが最初でした。

でも、実はその当時はストーリー重視で本を読んでいたボクは(若かったな~)彼の文体と主人公の独特のちょっと歪んだ哲学や内面描写が多いゆっくりとした展開にどうも馴染めず、途中で読むのをやめてしまいました(笑)(この本を読んだ後、文庫本を買ってしっかり読み直しました(笑)とてもおもしろかった!!)

そして、2年余りの月日が流れ、ボクは再びこの本で森見さんと再会を果たしたのです(笑)

この2年の間に、自分はストーリーだけではなく、文体や工夫を凝らした言い回しなどに感銘を受けるようになっていたので、この本を読んだときには、デビュー作から更に格段に進化した森見さんの美しい文章に、度肝を抜かれたことを今でも覚えています。

彼のすごいところはやはり独特な文体でしょう。

こんな文体で文章を書ける人は彼以外にいないと思います。真似しようとしても無理でしょう。

森見節ともいえる、彼独特のテンポのよい言い回しや、多彩なボキャブラリーを織り交ぜる台詞は、はまると抜け出せなくなります!!

そして、そのクセの強い文体で大衆受けしたこと。それが彼の最大の偉業でしょう。

描き出すキャラクターたちも、作者森見さんの人間性をあらわすように純粋で、読んでいて心がキレイになっていくような気さえします。

モテない男子学生の心境や壊れっぷりもリアルに描かれていて、妄想に次ぐ妄想で歯止めが利いてません(笑)甘酸っぱい大学生活が、青春の日々が、誰もが身に覚えのある次元で描かれています。

そして、彼の小説はほとんどが京都が舞台となっているのですが、本当に素敵に描かれています!ボクはこの本を読み終わった後、思わず普通電車を乗り継いで京都を見に行きました(笑)それくらい素敵な京都の町並みが、空気が、作者の京都への愛情が、文章からひしひしと伝わってきます。



そんな御伽ばなしのようで、妙に現実的でもある不思議な小説であるこの本。

今となっては人気でたくさんの人たちに広く愛される作品となっていますが、本当はこの本は個人個人の中で大切にされ、思い入れのある大事な本になりうる、個人の愛情に応えてくれる、そんな誠実な暖かさをもった本だと思います。


ミーハーな感じがして、どうも読む気をそがれていたあなた。

数々の賞のことなんか考えずにこの本を読んでみて下さい。

あなたのお気に入りの一冊になるかもしれませんよ。