孔子 ~人間、どこまで大きくなれるか~
渋沢栄一・著/三笠書房
かの有名な渋沢栄一氏の本です。(実は買ってから気づいたのですが。)
明治維新の頃が歴史のなかでいちばん好きなので、山県有朋や西郷隆盛、岩崎弥太郎など有名どころの名前が生き生きとしたエピソードとして出てくるので、とても面白く読みました。
さて、孔子という人ですが、実はかなり結構大変な思いをした人です。
今風に簡単に言えば失業者ということになります。諸国を歴訪し、さまざまな王に仕官を願い出ますが、いずれもなかなかうまくいきませんでした。
現代でも同じですが、思想が立派すぎると生きるのが難しくなるんでしょうか…。
ところで、孔子は自分がある種の高みに達していることを自覚していたんでしょうか? まあ、簡単に現状で満足するような狭量ではだめなんでしょうが・・・。達成感なしに人間はなかなか努力できないものです。
欲がない=好ましい。
欲がある=好ましくない。我田引水。
この構図は美しいです。ですが、生きてはいけません。
YOGA
内藤景代・著/PHP研究所
一昔前はちょっと怪しい存在だったヨガ。実はかなり健康に良いということが分かってきました。
と言うのもストレッチ効果によるリラクゼーションだけではなく、独特の呼吸法(腹式呼吸法)が脳内物質のセロトニンを分泌させる効果があることが分かってきたからです。
セロトニンが不足するとイライラしたり、キレやすい性格に傾いてしまいます。ちょっと乱暴ですが誤解を恐れずにいうと、ノルアドレナリンの反意語といったところでしょうか。
腹式呼吸法は曹洞宗の禅によってもマスターできますが、いかんせんちょっと敷居が高いのが難点です。
その点、ヨガであれば楽しみながら学ぶことができます。(もちろん禅が楽しいと言う人が居るのは否定しませんが。)
この本はそんなヨガを、絵を見ながら簡単に練習できます。
初心者の入門用にはもってこいだと思います。
脳を味方につける方法。
池谷裕二・著/ライオン社
忘却曲線など記憶というものを、科学的根拠に立って説明している。
著者は脳の研究の第一線で活躍する実務家であるため、説明は明快で正鵠を得ている。
例えば「復習は1カ月以内でないと効果なし」や、「まずは1科目を得意科目にすれば、他の科目の記憶がスムーズになる」など興味深い内容となっています。
この本で得られた知識なしに、現在の私は存在しないといっても過言ではありません。
誰でも経験していることだと思いますが、勉強していると大きな壁に突き当たります。
それは「忘却の壁」です。
1週間前に何時間もかけてやったことが思い出せない→絶望する→投げ出す。資格試験に落ちる人はだいたいこのパターンです。
しかし、逆に言えばこの壁さえクリアすれば、どのような試験だって合格できるわけです。
脳を味方につけてがんばりましょう。
ページ数は100ページ足らず。一時間で読めます。
就業規則の本
矢萩大輔、下田直人、畑中義雄、金野美香著/㈱九天社
さて、そもそもなぜ就業規則をきちんと調製する必要があるのか。
それは就業規則とは、「条文に書かれていないことでは裁けない」ものだからである。
(刑法の罪刑法定主義にちょっと似てますね。)
どういうことかというと、例えば「社員は会社の出向命令に従わなければならない」とういう条文がなければ、出向を命じることもできないことになる。
「なんだ、出向ならうちは子会社もないし、心配することないな」と思った方、要注意。
自己都合で退職した従業員が、後日、会社の個人情報を持ち出していたことが発覚した場合はどうしますか? 懲戒解雇規定に「個人情報の持ち出しを禁じる」という規定がなければ、あくまで自己都合退職として退職金を払わざるを得ないことになります。
このような理不尽で腹の立つ事態を避けるために、就業規則があると考えれば、その必要性がわかってもらえると思います。
問題社員の首の切り方
山本幸夫 著/中央出版
『社員の首を切る』のは相当神経を使わなければなりません。
首を切るということは、その人の人生を少なからず混乱させることになるので、相当の覚悟を持って行う必要があります。
この場合に考えられるリスクは以下の通りです。
①クビになった社員が労働基準監督署に駆け込む
②不当解雇で訴えられる
このようなリスクを未然に防ぐための方法論が、この本には豊富に詰まっています。
会社にとって必要な人材を切るのではなく、『問題社員』なのですから手加減することはありません。一刀両断にしましょう。
首を切る、とは少し違いますが、解雇事例について問題を出してみたいと思います。
気が向いたらコメント欄にでも書き込んでください。
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とある職場で社員が上司とトラブルを起こした。
社員はその日から出社しなくなり、理由を聞いたところ「上司が辞めろといったから辞めた。会社に戻る気は無い」とのこと。
一方、上司は「辞めろと言うのは言葉だけのものであって、解雇という意味ではない」。
問題1:この状況での対処方法は?
問題2:どうすればトラブルなく、手続きが成立するのか。
答えを作成するにあたっては・・・
①なるべく会社にとって金銭的・人的・社会的損害が少ないものであること。
②現在はもちろん、将来的にも一番リスクの少ない方法であること。
を基準に考えてください。
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