平等といえば、自由と同じく人権を現す代表的な標語です。
日本国憲法でも、その14条に於て、平等権が規定されています。
この平等も、結構論点が多彩です。
この記事では、憲法学に於る平等について記述します。
平等の種類
一口に「平等」といっても、幾つか種類があります。
まず一般的な種類として、
- 機会の平等
- 条件の平等
- 結果の平等
があります。
上記とは全く切口が違うのですが、法律に着目した平等として、
- 法適用の平等
- 法内容の平等
があります。
合理的な区別を容認するかしないかという切口で、
- 絶対的平等
- 相対的平等
があります。
機会•条件•結果の平等
結果の平等とは、例えば全ての労働者の年収を1千万にしよう! とか。
よさそうにも見えますが、憲法学では通説じゃないそうです。
例えば、顔面偏差値でいうなら、イケメンとブサメンが出るのはよくない! とすると、
極論、クローンしかないですよね!
或は、全ての労働者の給料を1千万にするなら、頑張ろうが頑張ろまいが給料1千万ですよね。
最近の流行である ‘個性の尊重’ とも
努力に報いるという事とも
結果の平等には合いません。
「機会の平等」とは、スタート線を揃える平等。
開始地点を揃えればいいだけの平等ですので、
比喩表現ですが、陸上競技選手だろうと、足に障害があろうと、スタート地点は同じです。
これだと余りに機械的なので出てきたのが「条件の平等」。
「条件の平等」とは、開始地点を各人の実情に応じて設定する平等です。
50m走で例えるなら、
足の遅い人は20mからスタートしていいよ、
怪我してる人は30mからスタートしていいよ、
です。
なかなか血の通った平等ですね。
只、私が憲法を習った時(約十年前)は、あくまで機会の平等が基本と習いました。
機会の平等が基本で、必要に応じて条件の平等をも加味するそうです。
「法適用の平等」「法内容の平等」は、
「機会の平等」「結果の平等」「条件の平等」とは全く違う切口です。
ごっちゃにしないで下さいね。
法適用•法内容の平等
「法適用の平等」とは、法の執行や裁判を平等にしなさい、という意味。
公務員や裁判が国民を不平等に取扱ってはいけませんよ、というのです。
1聞、もっともらしく読めますよね!?
じゃあ次の例はどうですか?
「一般的に、女の子の方が男の子より成長が早くてしっかりしてるから、女の子は4才から小学生。
男の子は8才から小学生」
実際には個人差がありますから、
女の子でも発達が遅い子もいるし、
男の子でも発達が早い子もいます。
個人差はあれど、
女の子であれば一律4才から小学生、
男の子であれば一律8才から小学生、
というので、法の適用自体は平等ですよね! というのが法適用の平等です。
憲法には「法の下の平等」と書いてますから、
解釈によっては、法の下にあるものを平等にすべきであって、
法そのものは平等じゃなくてもいいとも読めますよね。
でもこれ、違和感ありますよね。
そもそも女子と男子で差を設けるの自体が差別なんじゃないかという…
そこででてきたのが「法内容の平等」です。
詰り、
「決りそのものも平等でなければなりませんよ!」
と。
想像し易いですが、法内容の平等が通説です。
法適用の平等を、別に「立法者非拘束説」、
法内容の平等を、別に「立法者拘束説」
といいます。
「立法者」っていうのは、国会です。
詰り、
法適用の平等では、国会は ‘平等’ という概念に縛られませんが、
法内容の平等だと、国会も ‘平等’ という概念に拘束されます。
憲法は全ての国家機関を拘束する法規範であって、
その憲法が平等を謳っていますから、
国会だけが平等の概念から逃れて好き勝手できるのも法的に不自然ですよね!
だからこそ法内容の平等が一般的たる所以です。
絶対的•相対的平等
絶対的平等とは、
「いかなる差別も許さない」平等です。
対して、相対的平等とは、
「等しい者を等しく扱う」平等、
授業で習った表現を使うと、「合理的区別を容認する」平等です。
現在の通説は相対的平等です。
詰り、ある程度の差は ‘合理的区別’ として許容されています。
何が ‘合理的区別’ かというと、
授業で講師がいっていたのは、
- 高額所得者への累進課税
- 点数による試験の合否、又は、実力によるレギュラーへの選出
です。
累進課税は、高額所得者程、沢山の税金をとられますので、
ざっくりいってしまえば、金持ちの財産を貧乏人に分配する仕組の部品です。
一方で試験の合否やレギュラーの選出は、ざっくりいってしまえば弱い者を排除する仕組です。
相対的平等には、
弱い者を優遇する側面、の他に、
強い者を優遇する側面、の、
相異なる2側面があります。
この講義を担当した講師が弱者保護が大嫌いな先生でね(苦笑)
より正確に書くと、
頑張れたのに頑張らなかった結果、弱者になった、いわば ‘キリギリス人間’ が嫌いなのです。
そのせいもあってか、合理的区別の「強い者を優遇する」側面を力説してました(笑)
私はその講師と違って、そこ迄弱者保護が嫌いではないですが、
頑張ったら頑張った分だけ報いをうけられるのは正しいと思います!
14条後段列挙自由
日本国憲法での平等規定は14条にあり、
こう書いています。
「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
中でも、
「人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
の部分は、「後段」とよばれ、差別してはならない対象が書かれています。
問題は、この後段の意味、
即ち差別してはならない対象は、14条後段に書かれてある事限定なのか、それ以外にもあるのか、という点です。
差別というのは14条後段に書かれてあるのだけ、という説を「限定列挙税」、
それ以外にもありますよ! とするのが「例示列挙説」といいます。
例示列挙は、憲法の条文を重視する点でいいかもしれませんが、
実際には14条後段に書かれてない差別が多々ありますよね。
例えば特定の病気をもっていたり、障害をもっていたり…
なので例示列挙が通説です。
じゃあ14条後段の項目は只の飾りかというと、
意味をもたせる説もあります。
それが...
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