日本には「刑法」という法律があります。
何を犯罪とし、どう処罰するかを規定しています。
多くの人は、犯罪と法律と聞いたら、刑法を思い浮かべるのではないでしょうか!?
実際、多くの場合、犯罪に関する法律は、刑法で何とかなります。
が、国際法が規律する犯罪、国際犯罪があるのをご存知でしょうか?
いわれれば「ああ、そうか!」となるかもしれませんが、
影は薄いもの。
今回はそんな、国際犯罪を規律する国際法、
「国際刑事法」について解説します。
国際犯罪
国際犯罪には、大きく2つの種類があります。
1つ目は、国際犯罪の最も単純なのは、犯人が外国へ逃げた、とかいう場合。
この場合、基本的には逃げられた国の刑法が適用されます。
国際手配してもらって、逃亡先の国で捕まえてもらって、逃げてきた国に送還されて、裁かれる。
そんなに難しくはないですね。
2つ目は、条約や国際慣習法が ‘犯罪’ と定めている犯罪。
この記事で書くのは、この2つ目がメインになります。
戦争犯罪
戦争犯罪の歴史は、第1次世界大戦まで遡ります。
1次大戦で、独国は敗戦国になります。
連合国側、詰り勝った国々は、当時のドイツ皇帝ビルヘルム2世を裁判にかけようとします。
が、ビルヘルム2世はオランダに逃亡し、裁判は実現しませんでした。
この反省から、第2次世界大戦では、連合国は戦争中から周到に裁判の準備をします。
案の定、連合国側の勝利で戦争が終ると、
かねてからの連合国側の ‘夢’ だった裁判が開廷します。
それが、独国では「ニュルンベルク国際軍事裁判」、
日本では「極東国際軍事裁判」、所謂「東京裁判」です。
これらの裁判は、然し問題も多い裁判でした。
判事は戦勝国の人間のみ、
被告は敗戦国の人間のみ、
しかも「平和に対する罪」「人道に対する罪」は、これらの裁判の為に降って湧いた様に出てきた罪状。
今でも日本人の一部に、東京裁判の正当性を疑問視する声があるのは、こういった理由からです。
国際犯罪の法典化
ニュルンベルク裁判•東京裁判とも、問題を抱えたまま進んでいきましたが、
一方で国連総会は、ニュルンベルクの諸原則を法典化、詰り文書化しようとしました。
そこでできたのが「ジェノサイド条約」という条約です。
ジェノサイドを犯罪とし、処罰する義務を負わせるという条約です。
ジェノサイドとは、一般的には集団虐殺ですが、この条約では、
特定の国民、民族、人種、宗教の人達を集団で破壊する意図をもって、
虐殺したり、肉体や精神に危害を加えたり、強制移住させたり
させるのをジェノサイドとしています。
もしジェノサイドが起こったら、ジェノサイドが起こった国の裁判所で裁くか、国際刑事裁判所で裁くか、になります。
国際刑事裁判所で裁けるのは、管轄を受諾してる国だけですが。
国際刑事裁判所
じゃあ、その「国際刑事裁判所」とは、どんな裁判所なのでしょうか?
2002年に国際刑事裁判所規定が発効し、
2003年から管轄が始まりました。
けっこう新しいんですね。
特徴としては、国際犯罪を犯した個人を裁く裁判所です。
何でできたのかというと、90年代のユーゴスラビア紛争があります。
昔、ユーゴスラビアという国があったのですが、
その国が解体する過程で、内戦とジェノサイドが発生しました。
その際、ジェノサイドを実行した、或は指示した人間個人を裁こうという動きになりました。
そこで、「旧ユーゴ国際刑事裁判所」(ICTY)が設置され、裁判がなされました。
この裁判所は特設法廷で、その場限りだったのですが、
これを機に「常設法廷を作ろう」という動きになり、国際刑事裁判所ができるに至りました。
裁判管轄をもつ犯罪
国際刑事裁判所が裁判管轄を持つのは、次の4つの犯罪です。
- ジェノサイド罪
- 人道に対する罪
- 戦争犯罪
- 侵略の罪
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