津駒さん
なワタクシ。
錣太夫襲名披露とあっちゃ初日に行くしかない!
というわけで2年ぶりの鏡開き〜
にらみ鯛
めでたい、めでたい。
第1部の最初は七福神宝の入舩。
めでたい、めでたい。
七福神が芸を披露するそれぞれ演目。
恵比寿さんがえびすビールをジョッキで飲んでおりました
最後は「祝六代目錣太夫襲名」の旗を持って襲名披露に華を添えてます
劇場中が幸せな気分に
六代目錣太夫襲名披露狂言
傾城反魂香 土佐将監閑居の段
これは吃音がある又平が主人公。
吃又とも呼ばれているんだとか。
そのくらい難しい役ってことよね
私の大好きな味のある語りで
見事襲名披露なさった錣さん
今後のご活躍が楽しみ〜
お正月&襲名披露とあって
文楽としては珍しく華やかな演目ばかり
でも普通の華やか
とは違うのよね、
そりゃそうだよ、だって文楽だもの。
第二部の加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)
女版の仮名手本忠臣蔵とも呼ばれているそう。
仇討ちです。
昨年4月から11月にかけて忠臣蔵を通しでしたのと掛けてるんでしょうね
しかも劇中で忠臣蔵を引き合いに出して
「馬鹿なことは考えるな」と暗に止める場面があるのですが、その冒頭。
「歌舞伎よりあやつり芝居の浄瑠璃が、私は面白うござります」
ビバ!ビバ!!
拍手してるお客さんもいてはりました
私も全くもって同感であります
形が圧倒的に綺麗だし音も役者さんがやるより
圧倒的に素晴らしい。
もちろん素晴らしい役者さんもいるけど
全体的に観ればやっぱ文楽よね、と。
そしてもう一つつくづく思ったこと。
やっぱ女の方がしっかりしてるわぁ。
これは加賀見山旧錦絵に限ったことではなくて
一部の曲輪文章も
二部の明烏六花曙もそう。
曲輪文章、
伊左衛門、アホか。
そして文楽おなじみのアレ。
「夕霧、アンタが惚れるような男やないで〜」
終演後の客席からは
「アホか、何しに吉田屋来てんねん」
その通り
ダメ男が出てきた後の客席って
会話を聞くのが面白い

ちなみに曲輪文章は冒頭お餅つきで
若手中心でしててとても楽しかったな
いいな、そして頑張れ若人
二部の明烏六花曙にいたっては
時次郎、なーんもしてへん。
アカンやん。
女と子どもは折檻に耐える。
時次郎は?
なーんもしてへん。
なんや、それ。
そしたら時次郎より
手代の彦六の方が断然いいやん。
なのに夕霧ちゃんたら彦六が用意した路銀持って
何にもしてくれん時次郎と逃げるのね…
結局この世の中、顔なんですかね…
彦六が可哀想でならんのだけど。
でも私が夕霧なら、、
確かに彦六はナシかな。
時次郎に散々裏切られて
もう気がつけば50歳
そんな私でも変わらずまだ愛してくれる…
今までごめんなさい、彦六!!
私が馬鹿だったわ!!
…そんな域にならないと
彦六の愛の深さに気づけない
女も馬鹿な生き物なのかしらね…。
話がだいぶ逸れたので本題に戻そう。
女の方がしっかりしてる問題について。
塩谷判官は加古川本蔵に止められたとはいえ討ち損じる
一方、女版は挑発に乗らない。
尾上は最後まで耐える。
耐えた末に自害する。
それも憎っくき岩藤の悪事を暴く証拠を残して。
しっかりしとるやろ!?
見習え、塩谷判官、若い鮒侍めっ
日本人なら耐えてみせろ、
と尾上が身をもって示したのでした。
尾上は恥辱を受け顔が立たないことと
岩藤の悪事を証明するため
自分の命を自ら絶った。
ご短慮で斬ってかかったはいいが
斬り損ねた挙句切腹を言い渡された男とは違います。
しかも仇を討つ「部下」も女版の方がしっかりしてる。
由良助は大事な場面で「遅かりし」も遅かりし。
何やってんだよーっ!遅いんだよ!!
なぜ息も絶え絶えのところに駆けつける。
主君が切腹するって時に
何やってたっていうんだ!!
もうちょっと早く来れたはずだろ!
しかもコスパが悪い。
廓で放蕩三昧。
…勘十郎さん、もとい由良助の遊びっぷりたるや。
ニヤけちゃうほどでしたなぁ〜
勘十郎さんたら、お座敷遊び慣れてはるんや、
と誰もが思ったに違いない
でもご本人曰く「とんでもない」と。
あんなとこで遊べるわけがない、と仰ってました…
が、疑いたくなるほどの見事な放蕩っぷりでした
まぁ仇討ちの意思がないことを装うなんて
頭脳派だけどもう一度言おう
コスパが悪い。
お家断絶になったのに
いくら使うとんねん!!
忘れたんか、城明け渡したやろ、由良助!
遣い過ぎて昨今映画になっとるやないか!
それを考えればお初はコスパの鬼やね。
時間もかけず、即実践。
しかも仕えた尾上が自ら命を絶った懐剣で
刀を振りかざす岩藤に斬ってかかる。
かっこいいやんー
男らしいやん〜
いやいやしかしながら
ちょっと無謀過ぎやしないかい、お初ちゃん。
刃の長さ違うもーん
どう考えたって勝ち目ないって!
大人たち(観客)が心配しながら見守る中
見事やってやりましたよ、お初

若さってスバラシイ。
その大立回りたるや、
まぁ新春を飾るにふさわしい華やかさ
メリヤスの中で逃げる相手、
追う主人公…。
こりゃ女版泥場と言ってもいいのではないだろうか。
女二人の殺し合いの場面が華やか、
一般人には解るまい
勘十郎さんと玉男さんが遣う人形が
生死をかけて揉み合ってるわけですよ。
華やかさしかない!!
眼福、眼福。
と仇討ちを観ながら思うのでした。
しかしアレは「エライ」でしょうなぁ…
普通でもエライだろうが
高下駄履いてアレか…アレをするのか…
つくづく技芸員さんて体力勝負やなぁ、
と思うのでした。
文楽のおかげで
幸先の良いお正月でスタートしました。
幸せな2020、令和二年であるに違いない
頑張ろうっ


