彼と初めて会ったのは10年以上前になる。
当時わたしは20代後半、彼は大学生だった。
わたしは通信制の高校に通っていて、何かバイトがしたくなったので近所のコンビニで働くようになった。
通信制の高校だったけれど、週3日か4日程4時間くらいの授業を受けに行っていた。
学校は楽しかった。
ほとんどの生徒は10代で、多くの友人は18歳以下だった。
いちばん仲のよかった男友達はジェラという当時10代の外国出身の子で、彼は学校でいちばんのリーダー的存在だったが、何故だか随分年の離れたわたしによく声をかけてくれて、よく彼と保健室で談話した。だからリーダーだったのかもしれない。
たくさんの友人に恵まれた。
先生もみんな親切だった。
文芸部に所属して、毎年短編小説を何本か執筆して、文化祭にはそれを出品した。
文芸部の顧問の先生からは「さかのは絶対小説家になる!」と言われていたのに、そうはなれなくて期待させて先生に申し訳ない気持ちでいる。
学校が終わると自宅でコーヒーや紅茶を飲みながらゆっくりした。
少しの風が吹く新緑の木々の中をかき分け歩いていくように、ゆっくりとその歩を進めていた。
コンビニで彼、Hくんと初めて会った時の印象は正直よくは覚えていないのだけど、ただ、かっこいい人だなと思った。
わたしは当時おこがましくも、彼と付き合いたいなんて思ってしまった。
もちろんそれは叶うことはなかった。
当たり前だ。
わたしみたいな女に、わたしが逆の立場でも付き合いたいなんて思わなかっただろう。
彼にはその気がないと分かり、わたしは彼から少しずつ距離を置くようになった。それは自然の流れでもあったし意識的にでもあった。
コンビニは結局、仕事をまともにしなかったわたしに、それを見兼ねたスタッフから「やる気ないなら辞めろよ」と言われて、勤務中だったにも関わらず途中で投げ出して帰った。スタッフも帰っていいと言った。おまえがいると余計仕事の邪魔になる、というようなことまで言われたような覚えがある。
まあ、確かにその通りだったのだと思う。
今コンビニ勤務しているわたしはそう思う、当時のわたしみたいなスタッフがいたら逆にお荷物だと。
いつからか再びHくんとよく連絡を取り合うようになった。
不思議とHくんとのやり取りはわたしの心を幸せな気持ちにしてくれる。
10年以上経って、Hくんのことをいつか小説にしてみたいと思うようになった。
でも残念ながらわたしにはそれだけの器量がない。
なのでアメブロで少しエッセイぽく書いてみることにした。
先日Hくんと久しぶりに会ったのだけど、やっぱりすごく緊張した。
もう会わないほうがいいのかもしれないと、帰り道思っていた。
そう思うと切なかった。
他の人となら何でもないのに、Hくんを前にするとドキドキしすぎてしまう。
特にわたしたちはその時久しぶりに個室で2人きりだったため、余計だったのかもしれない。
(個室とはいえ期待するようなことはなかった)
どうしたら彼と実際会ってる時にまた楽しく過ごすことができるんだろうと、この頃考えている。
外で散歩とか?
散歩なら緊張もほぐれそうだ。
でもわたしなんかと歩いてくれるだろうか…
何か別のいい方法はないだろうか。
わたしはどちらかと言えば女友達よりも多分男友達のほうが多いのだけど、Hくんはわたしにとって特別な存在だ。
おそらく友達関係だからいいのだろう。
友達と呼んでいいのかわからないけれど、わたしにとっては特別なことに変わりはない。
