久々に韓国映画をミニシアターへ。せっかく映画の日だしなぁと思い
前評判も高そうなのがわかって見てきました。名作でした。
あ~こういう映画を待ってたんだ、って感じです。私にとっては。
画像がモノクロのものばかりですが、オール白黒じゃないんですよ。カラーのシーンもある。
でもモノクロのシーンがすごく効果的に使われていて。チラシには「水墨画のような映画」とありましたが、それも納得です。
出典:ヤフー🎬
キリスト教が19世紀の朝鮮では禁じられており、敬虔な信者であるために遠く島流しになった学者チョン・ヤクチョン(ソル・ギョング)は、海に囲まれた自然豊かな島で暮らすうちに海洋生物に興味を持つように。
(ネタバレ注意)
そして島の賢い若者・漁師チャンデ(ピョン・ヨハン)を見出し、頭はいいが貧しく知識を広げる余裕がない彼に学問の知識を授けようと考えます。
チャンデは「背教者(儒教に背いている)だ」と最初はヤクチョンを避けていますが、税金を取り立てる役人に歯向かったところを助けてもらったことから、チャンデはヤクチョンと交流することに。
海洋生物について詳しい知識をチャンデから教わる代わりに、自分は孔子や朱子の本の読み方・解釈の仕方を指南するのでした。
チャンデとの友情を通し、いつしか海洋生物についての詳しい書物を書き表そうと考えるヤクチョン。それにこたえるようにチャンデは大きな魚をつかまえてきて、ヤクチョンに捧げたりもします。
この映画の中では二人がアンコウやムツゴロウを食べるシーンも出てきますが、アンコウは日本でも「アンコウ鍋」があるからおいしいのはわかるけど、ムツゴロウも食べられるんですね!
チャンデは「先生は変わった味を好む、変人だ」などというところもありますが(笑)
ヤクチョンのおかげで知識も身に着け、ついに科挙を受け役人になろうと考えるチャンデ…。
「金をただ儲けたいだけだろう、知識は一通り教わってもう充分なんだろう」と去っていこうとするチャンデをなじるヤクチョン。
「金をただ儲けたいだけだろう、知識は一通り教わってもう充分なんだろう」と去っていこうとするチャンデをなじるヤクチョン。
この辺から島の楽しいムードから一転して悲しい影が忍び寄るのです。あんまり書くとネタバレになっちゃうけど、明暗のメリハリが本当に韓国映画はうまいと思いますね…
日本でも昔は農民が重い税を課せられて苦しんだのは皆さんご存じでしょうが、朝鮮でも同じこと。しかも生まれたばかりの赤ん坊や死んで3年たった人間にまで課税義務があるとは…理不尽さに愕然とせずはいられません。
ラストは書かないようにしますが、ヤクチョンはチャンデのおかげで自分の本来の性格・好奇心旺盛さを取り戻すことができ、チャンデにとっても感謝しているんですよね。
その終わり方に胸打たれました。
流刑になったヤクチョンに宿を貸す未亡人・カゴ(イ・ジョンウン)は、どこかで見た顔…と思ったら「パラサイト」でキーウーマンとなる重要な役・家政婦役の女優さんでした!
本作ではなんとも愛らしい名コメディエンヌで、彼女の言動にはほのぼのし、笑わせてもらいました。いい役者さんですね。
今回数年ぶりに訪れたミニシアターで拾い物をしたって感じでした。よかったなぁ。
実話ベースというのがまずリアリティがあるんでしょうね…。
※チャサンオボはヤクチョンが書いた海洋学書のタイトルです。
ちなみに原作「チャサンオボ」は渋沢栄一のお孫さん・敬三氏が翻訳出版を
目指した書物でもあるらしいです。
ピョン・ヨハンは日本でいうと、私見ですが塚本高史と青木崇高を足して2で割った感じで、ほれぼれするハンサムさんでした。
日本でも隠れキリシタンが弾圧された時代もあったわけですが、朝鮮もまたしかりだったんですね、知らなかったな…