もう先週になりますが、「海辺の家族たち」を見てきました。

監督はフランスのケン・ローチと言われるロベール・ゲディギャン

だそうで。

 

ケン・ローチと言えば、イギリスの社会派映画を撮る人ですが、割とシリアス系いける私でも、この方の作品は重すぎて…途中で見るのをやめたことがあります。(レンタルDVD)

 

そうだな、是枝監督と対談もしてたんだっけ。思いだしたぞ

 

まぁそれは置いといて。映画の話をしましょう。

ただしネタバレしてるんで、まっさらな状態で見たい方は読まないようにしてくださいねm(__)m

 

 

 

出典・映画.com

舞台はマルセイユ、以前は別荘地として華やいだ海辺の町でしたが、今はすっかりすさびれています。

 

そして父親が倒れて寝たきりの状態になって、子供たちを認識できているかどうかもわからない…というところに兄妹が集合します。

 

お父さんがきちんとしゃべれる状態の映像はほとんど出てこないです。だからどんな人かっていうのはほとんどわからず、兄妹の会話で読み取るしかないんですけどね。

妹は大女優でかつては大活躍していたけど、正直今は鳴かず飛ばずのようです。

 

そして妹は父親に一番愛されていたのに…(そりゃ女の子ひとりならかわいいよね)ずっと疎遠にしていたわけです。

 

それには理由があって、女優の仕事、長期の撮影の時、娘をお父さんに預けていたんですね。

 

ところが大人の目を盗んで娘は海に行きボートに乗る。そして誤って落ちて事故死してしまうんですよ…

 

これがわかるシーンがあるんですけどね。描き方はごくシンプルなんですけど、それだけに泣けますね。

 

アンジェルは20年もの間、ずっと娘の死にとらわれて本当の意味では立ち直れないでいる。

そして目を離した父親を許せないでいるんです、まぁ当然っちゃ当然です。

 

その時父親は新しく作る店のことで頭がいっぱいで。そのプランを話しているうちに、孫娘は眠っていたのですが、家を抜け出して悲劇が生まれるという、実際によくありそうな話じゃないでしょうか。

 

誰も責められないから余計に辛いですよね…

 

次男のジョゼフは年若い恋人がいるんだけど、捨てられそうな予感満載です(笑)この俳優さん仏映画では良く見るんですよね~。

有名な人なんだろうな。

一番右の人です↑

 

フランス人って言いたい放題というか奔放と言うのか?自分の恋人でも「君はありきたりの考えすぎる、つまんない」とか平気で言うんですよ(笑)

 

そうかと思うと、別の場面では「君なしでは生きていけない」とすがりついたりね。素直でいいっすけどね。

 

いっぽうアンジェルには息子位の年齢の漁師・バンジャマンが。

 

この人が熱烈にアンジェルを口説くんですが最初は相手にしないんです。ビンタしてたしww

 

初めての観劇をしたのが自分の舞台だったから、そういった思い出・憧れと愛情を錯覚してるんじゃないかとアンジェルは思うわけです。

 

でもどうも本気らしいという、やり取りが面白いんですよね。

 

唐突にマルセイユの華やかなりしころ、兄妹も若くってブイブイ言わせてた頃の場面も後半に差し込まれるんですが、これも突然さがいいスパイスで。

こんな風。それで一人誰?っていう男性も登場するんですが、

どうもそれがアンジェルの元ダンナだってこともなんとなく推測できる。

すっかり閑古鳥の鳴くマルセイユ、兄妹はどうするのか、父のレストランを長男は継ぐのか、それとも売却するのか…

 

そんなところに移民としてフランスに命がけで船で乗り込んできた幼い姉弟が出現します。

 

もし警察に見つかったらとんでもないので、兄妹は3人をかばって育てていくことにします(たぶんその覚悟だと思う)

 

アンジェルは大事に取っていた亡き娘の洋服を長女の可愛い女の子に着せるんですけどね。

 

多分こうした若い命を預かることで、人生も半ばを過ぎた兄妹も触発されて、生きがいを見つけてリスタートする、そういうエンディングだと思います。

 

皆が高所鉄道の線路に向かって、名前を叫ぶシーンは感動です。

その理由まで話すとネタバレ(十分ばらしとるがな)になっちゃいますが、

思わず涙が…

みんな辛いけど頑張るんだなっていうのが伝わってきてイイんですよ。

 

決して万人向けではないでしょうが、ちょっとでもフランス映画、ハリウッドにはないシニカルさみたいなのが好きな方にはおすすめしたいです。

 

ちなみに監督がマルセイユの出身のようですね。だからこのリアリティか!と納得でありました。

 

ケン・ローチに興味のある方はこちらどうぞ