※ネタバレしていますので、これから楽しみにご覧になる方はご注意くださいm(__)m

出典元:映画.com

 

そろそろ上映回数も減りそうで(笑)急ぎ見てきました。「ノマドランド」

ヒロインは「スリービルボード」のフランシス・マクドーマンドが演じていましたが、顔には深くしわが刻み込まれていて。

でもそれが年相応ですごくカッコイイんですな。

 

これはノマド(流浪の民)となって車中生活をしながら仕事をして、その仕事が終わったら次の仕事を求めて移動し、また新たな職に就く、そういったシニア世代の人たちの話です。

 

リーマンショックによって石膏採掘場が閉鎖になり、エンパイアという街も閉鎖されてしまう。そこでファーン(マクドーマンド)はやむなく街を去り、自分のバン(車)に必要な荷物を積んで出発するのです。

行く先々で人と出会い交流はするのだけど、深くは立ち入らない。孤独を愛するかの如く、日々淡々と仕事をしては車の中で眠り、移動を繰り返す。

 

アリゾナやネブラスカなどの大自然が美しく、時に川で沐浴をし、時に大海原の前で深呼吸して、ファーンは暮らします。

 

リアリティあるな~と思ってエンドロールまで見ていて納得でしたが、ヒロイン以外、多くの本当のノマドの方々が出演されてるみたいです。だからあの迫力か!と。

 

最初の方ファーン、車中生活の心得が足りないって怒られてましたからね^^;

 

あと車を停めて中で寝てると怒られるから、その時の回避方法とか(笑)←タイヤをパンクさせる 面白かったです。

 

それにしても長年頑張って働いてきたシニアの方々、年を重ねてまでこんな生活をしなくっちゃならないのかと思うと切なかったです。

 

リンダ・メイ(本物のノマドさん)は、「12歳から働いてきて娘も育てたのに、年金はたったの550ドルよ、信じられる?」とファーンに語り掛ける場面があって、愕然としました。

 

日本だって年金はそんなに多い方じゃないだろうと考えていたけど、もっとひどそうなアメリカ。(これは健康保険もそうみたいですけどね)

 

私がファーンと同じ立場にあって、こんな強く生きられるだろうか?と考えつつ見ていました。

 


最後の方で、旅しながら暮らしていると「永遠の別れはない」っていう言葉が出てきます。「じゃまたね」で済むと。

 

つまり深くその人と関わっちゃうと、いつかは訪れる「別れ」が辛すぎる、だからあえて距離を取って行動するのかなと思い…

 

ファーンは旅先で男性に口説かれてもOKせず、お姉さんにお金を借りて「そばにいてほしかったのに、あんな田舎に結婚して引っ越して」と愚痴られても立ち去ります。

 

ファーンにとって何より大事なのは最愛の夫(ボー)であり、亡き父・母であり。だからきっともうそれ以上悲しい別れをしたくないのです。

わかる気がする…だから「この子気性がいい犬だから飼わない?」と聞かれてもNOと答える。

 

今のアメリカは原作者のインタビューを読むところでは、さらに状況が悪化しているようです。深刻な問題だな…

 

 

自分が10年・20年後、どのように生活していくのかという現実を突きつけられた、そんな思いもする作品でした。