引き続き、黒人差別問題を扱った作品を見ています。これは実話ベースの物語。映画ポスターが印象に残っていたので、私は自分が見たものだとばかり勘違い^^;今回が初見でした。2017年公開作品です。
「ラビング」(Loving)とはくしくも旦那さん側(リチャード)の苗字です。だから「愛という名前のふたり」って副題がついてるんですね。
1950年代のバージニア州では、まだ白人と黒人の結婚は法律で許されていませんでした。しかし愛し合う二人には子どもができ、それを機にリチャードは結婚を決意。自分たちの住む州では結婚できないので、ワシントンDCまで行って結婚します。
故郷に戻ると二人は警察に「法を犯した」と連行され、投獄もされます。家族からも「あの子はいい子だと思うけど、法律を犯してまで結婚するのはよくない」と反対を受け。仲間の一人にもリチャードは、「お前は普段は俺たち(黒人)とつるんでても、しょせんは白人なんだ。俺たちの気持ちはわかんないよ、奥さんとは離婚すればいいじゃないか」と言われる始末。
寡黙で仕事熱心なリチャード、顔だけ見ていると短気でカッとなりそうな雰囲気なのだけど、彼は暴力も振るわずじっと耐えます。妻のミルドレッドは、なんとか現行の法律を変えたいとアクションを起こし、司法長官・ロバート・F・ケネディに手紙をしたため、その手紙が二人の運命を大きく変えていくことになるわけですが…
二人は三人の子供をもうけ、結局ワシントンDCで生活を送ることとなります。特にミルドレッドは、自然豊かな故郷で子どもをのびのび育てたいと願い続けました。リチャードは、マスメディアに二人のことを取り上げられるのを嫌がりましたが、この辺ミルドレッドは従順なようでいて、芯の強さを貫き、「法律が変わる風穴をあけてくれるかも」と全く動じないんですよね…。
リチャードとミルドレッドは心から愛しあっており、子どもを大事に育て家庭を守りたい、誰もがごく自然に願う生活を送ることすら許されない。その理不尽さに心が震えます。二人はあまり語らず、余計な説明も作中ではほとんどありません。だからこそ静かに見る人の胸を打つのです。
法律が変わり、二人の結婚も「当然の権利」として認められた7年後、残念ながらリチャードは不慮の事故で亡くなりました。ミルドレッドは2008年にこの世を去ったそうですが、再婚はせず夫を想い愛し続けたと映画の最後にテロップが出ていました。
実は俳優のコリン・ファースが制作に加わっていたことも分かって収穫でした。リチャード役のジョエル・エドガートンのインタビュー動画はこちら↓
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