アメリカで人種差別について、再度問題になっている昨今、そういったテーマの作品をレンタルしてみました。招かれざる客は1967年作。先駆者的な映画かもしれません。この映画が作られた当時、まだアメリカでは異人種間の結婚が認められていない州もあったそうなので。
アメリカの女優陣の中でも名優の誉れ高いキャサリン、私生活でも良きパートナーだったスペンサー・トレイシーが夫婦役で息の合ったところを見せてくれます。
しかし撮影時トレイシーは病に侵されており、終了して17日後にこの世を去ったとのこと、映画の中ではとてもそんなふうに見えなかったですけどね。役者さんってすごい!
ハワイからサンフランシスコの自宅に急きょ帰宅したジョアンナ(キャサリン・ホートン→ヘップバーンの姪だそう。道理で似ていると思った)は運命の相手に出会ったと母親に息せき切って報告。母クリスチーナはその相手が黒人と知るや否や言葉を失ってしまう。
シドニー・ポワチエ演じるジョンは医学博士でもあり、論文の功績も高く立派な紳士。それでも母は想像しえなかった、娘が黒人と結婚を望む事実に当惑するのでした。またジョアンナはいいところのお嬢さんであり、自宅にメイドさんがいますが、これがまた厄介な話。
黒人のメイドさんが同じ人種であるジョンを偏見の目で見るのです。「何が魂胆でお嬢さんと結婚するの?」といった感じで。財産目当てで若い女性を誘惑して…とでも言いたかったのでしょうか。
リベラルな家庭で育ったジョアンナは「人種に偏見を持ってはいけない」と両親に聞かされて育ち、「だからうちの両親は結婚を許してくれると思う」と極めて楽観的。実際そううまくはいかないのですが…。
幸せそうな娘の笑顔を見て考えを改めるクリスチーナ、マット(スペンサー・トレイシー)に「黒人を愛するな」とは教えなかった、と夫の説得に乗り出します。
その上にジョンの両親までサンフランシスコに来訪し、一緒に夕食を囲むことになります。婚約者が白人ということもジョンは事前に伝えておらず、やはりジョンの両親も唖然とします。
この後一対一で話をするうちに、母親同士は「子どもが幸せになるのであれば…」と意気投合し、この結婚を認めることにしますが、難しいのは男性陣。難色を示しいい顔をしません。この辺が男女(父親と母親)の違いが出てて興味深かったです。
最終的にはマットが考えを変えて「これから先の道のりは決して平たんではないだろうが」と前置きをしたうえで、二人の結婚を後押ししてくれることになりますが。
今も白人と黒人のカップルで結婚っていうとまだまだ少ないように感じますが割合的にはどんなふうなんだろう。
余談ですが、作中でマットとクリスチーナの夫婦が車で出かけてアイスクリームとコーヒーをオーダーし、車内で食べるシーンがありました。
マットは「ポイズンベリー」のアイスを間違って注文するので最初は戸惑うんですが、「意外といけるかも?」とそのまま食べ続けるのがなんともチャーミングでした。(最近我ながらオジサン萌えしている気がする^^;)
こちらの記事を参照させていただきました。→人種差別ホラーの50年前、黒人と白人のラブストーリー『招かれざる客』が伝えたメッセージ
黒人と白人の結婚について検索したところ、こんな記事も出てきました。2019年ですからね、この事件も…ごく最近です。
「キリスト教の信仰」理由に黒人と白人の結婚式拒否、米式場に非難集まる
実際に見てみたい方はこちら
ちょっとテイストが違いますが、これも黒人の男性と白人女性のカップルの話です。