画像引用元:https://eiga.com/movie/89723/
最近目が離せないインド映画。この作品は実話がベースになっているということで余計気になってたんです。タイトルの「パッド」というのは生理用ナプキンのこと。このナプキンをインドで安く大量生産できるようについにはマシンを発明してしまう男性の物語です。
とはいえ、日本でさえこういった話はタブー視されがちですし、男性が話題に入るのはなかなかないことですよね。ましてや伝統やしきたりがずっしりとのしかかるインドにおいては言わずもがなです。(ちなみにこの話は2000年のインドが舞台です)
愛妻家で妹たちも大事にする、心やさしいフェミニスト・ラクシュミ。生理がある5日間は妻が「穢れの間」と称する寒い部屋で自分と別れて生活し、体にも触れてはいけない風習に疑問を持ちます。しかも妻は汚い布を使ってナプキン代わりにしている。薬局で意を決してナプキンを購入。しかし1袋1100円(日本円で換算すると)かかる事実に驚愕。妻はそのナプキンを差し出すと「高すぎて使えない」と躊躇するのです。
そして医師と会話するあるきっかけがあり「インドの女性は生理中汚い布を使い、中には灰を使う人もいる。病気になる人もいるし、重篤な場合は死が待っている」と聞かされたラクシュミは、愛する妻のために安くナプキンが手作りできないか?と東奔西走しはじめる…
さて、ここからが苦労の始まりです。お手製のナプキンを差し出すも妻や妹、母には「キチガイ・変わり者」扱いされ、高学歴であるはずの医学生の女性たちにもホームユーステストをお願いするも拒否される始末。
彼自身「高性能なナプキンを作り上げたい」との気持ちがあまりにも逸り高じて、妻の評判も悪くすることに。自分の村まで追われることとなります。
あんまり詳しく書いちゃうとあれなんで(笑)ここから細かいことは割愛しますが、村から追い出された彼は他の村に移住し、ナプキンに使うのは実は「綿」より「セルロース繊維」がいいのだということが判明し、ナプキンづくりに新たな活路を見出します。
もともと作業工だったので、ナプキンを大量生産できる機械の構造をインターネットで見つけ、知恵と工夫をこらして安いナプキン製造機を作りだすラクシュミ。試作したナプキンをはじめて使ってくれたのが、富裕層の娘であり、工科大に通う才媛・パリー。彼女の出現によって強い味方を得て、他の女性たちにもナプキンを販売することに成功するのでした。
「月のものは穢れもの」という観念を多くの人が持つ中で、男性として「ナプキンを使えば衛生的で病気だってなくなるはず」と考えたラクシュミは、実に進歩的で合理的な頭脳の持ち主なのですが、それだけに風習を重んじる多くの人たちの反発・反感を買っちゃうんですよね。これがたかだか20年前のインドなのか!と思うと驚きです。それまではインドでも約8割の女性はナプキンは使っていなかったわけですから。
映画の中ではラクシュミの苦しみ、ラクシュミの奥さんの苦しみも痛いほどに伝わります。「これはしんどいな…」と感じると、ちょうど場面転換で歌と踊りのシーンが出てきて、その辺のバランスも上手にとってるなと思います。
それと本作では奥さんの背中にラクシュミがキスするシーンや、あわやベッドシーンになるか…とヒヤッとするところもあり。これまでインド映画は濃厚なラブシーンがない代わりに、華やかな踊りや歌が挿入されると思っていたので、そういう意味でもちょっとびっくりでした。インドの映画も進化してるんだなぁ。
ラクシュミのモデルとなったムルガナンタム氏のTEDでのスピーチはこちら↓
日本語字幕も出ますので大丈夫ですよ。