イメージ 1

フランソワ・オゾン監督の死を描く三部作の二作目
「まぼろし」に続く作品がこれなんだそうですが・・

絵画のように美しい(特にラスト)作品でした。
無駄なものが何もない。凝縮された80分間の映画。


人はなるべくなら元気なままポックリ逝きたい。
しかし望むようにこの世を去れる人は
いったいどのくらいいるんだろう?
大体は病気で苦しんで苦しんでいまわの時を迎える。
だとしたら、「どこで死ぬか」せめて死に場所は選びたい、
自分にとってどこで死ぬのが一番幸せなのか。


主人公のロマン(メルヴィル・プポー)はそのことについて
病を宣告されてからずっと考えていたのではないかと思う。
いかに死を受け止めるか?しかも自分ひとりで。


家族にはついきつい言葉を吐いてしまう。
特に幼い頃固い絆で結ばれていた姉に対しては。
だから会わないで電話で本心を語る。
その代わりに「素晴らしい贈り物」を用意して・・・
姉とのこのシーンも良かったのだけど
祖母・ジャンヌ・モローとの場面が印象的でした。
すごい迫力・存在感ですよね。


「人は海から生まれた」って言いませんでしたっけ?
だから海を見ると心が安らぐんだって。
「まぼろし」でも海が出てきましたが、この映画でも出てきます。
自分が死ぬということ=自然に帰るということ
なのかもしれない。そうすれば、死への恐怖はなくなって
いくのかもしれません。


以前「名もなきアフリカの地で」という映画の中で
重症の老婆を「彼女はもうすぐ死ぬんだから外にいるままでいいの」
とアフリカ人女性が言っていた。ドイツ人のヒロインの母は
見咎めていたのだが、それが理にかなっているのかも
しれない。そんなこともふと思い出しました。


「スイミング・プール」も「8人の女たち」も
良かったのですが、(「ふたりの5つの分かれ路」
は見てないんです)「まぼろし」と並んで・・それ以上にかな。
オゾン作品の中では好きな作品になりそうです。

あまり書いてしまうとネタバレになっちゃいそうだし。
この辺にしておくのがいいのかな~。