カンヌでパルムドールを受賞したということで、すっかり話題の
「万引き家族」です。幼児虐待や年金の不正受給など、いまの日本が抱える
問題がいくつも出てくるし、なんともやるせない気持ちになるのですが…
すでにテレビで見て知っている方も多いでしょうが、この家族はホントの家族じゃないんです。みんななにがしか事情を抱えていて、共通の「ヒミツ」を持つことで繋がっているお話。
それでも楽しそうで、特に海水浴ではしゃぐシーンはほほえましく、
偽りの家族とはとても見えないんです。そしてここでほかの家族を見つめる
初枝(樹木希林)が秀逸なのです。
安藤サクラ演じる信代を見て「あなたよく見るときれいですね~」とつぶやいたり(笑)
でも口の中で何かをつぶやいている彼女を見ると、
「あ~ここから何か起きるんじゃないか」というのを否が応でも予測させられるんですよね。
それまでさほど大きな出来事は起こりませんが
この海水浴の後から物語は展開していきます。
人間はみんな孤独で弱い。出てくる大人はみんなダメダメかもしれないけど、それでも頑張って生きようとしている。先日見た『デッドプール2』で、主人公が愛する彼女に言われた言葉「こどもを守ることでいい人間になれる(成長できる、だったかな…)」というのも思い出してしまいました。
ケイト・ブランシェットが絶賛した安藤サクラさんの「泣き」の演技もさすがで、自然ともらい泣きしちゃいましたね。男性より肝が据わっていて、大いなる母性の持ち主でもある信代。やっぱりいい女優さんです。彼女が当時妊娠していたのでキャスティングしたのはもっとも遅かったようですが、その甲斐はあったんじゃないでしょうかね。
亜紀を演じる、松岡さんの若さと美しさも映画に華を添えていました。彼女は何も悩みがないのかと思いきや、そのうちに露見して来る複雑な事情。ちらっと池松壮亮が出てきますが、彼をあのワンシーンだけ使うっていうのは贅沢だなぁなどと変に感心もしてしまいました。
映画が終わった後も万引き家族は今後どうなっていくのだろう?と気になりつつ…それはそれぞれの想像の範囲にとどめておくのがいいのでしょう。