昨日、神事にて食する豆鯵が熱海の魚屋から届いた。
神事の直会(なおらい)で参加者全員で食べるものだが、
一昨年まで普通の鯵の干物を食べていた。
しかし、この鯵の干物がどうも具合が悪い。
その昔は大きな鯵を1尾丸ごと手渡され、尻尾のところを持ち、
ぶら下げて合図を待つという風景だった。
それよりなにより、この鯵の干物が食べにくいったらありゃしない。
片手にはお神酒の入った湯飲み茶碗を持っている。
片手で持った鯵の干物をどうやって食うのか。
考えてみればわかる。
頭も骨も皮もついたままの干物をかぶりついたって
うまく食えるはずもない。
骨のないところを少しパクッと食えばそれで終わりである。
何年か前から鯵は半身になったが結果は一緒だ。
そこで俺は昨年、考えた。
以前行った伊豆半島は伊豆高原で食べた豆鯵だ。
あれならしっぽを持って、二口か三口で、全部綺麗に食べられる。
手に脂も付かない。
これでいこうと現地の魚屋に電話をしたが、
昨年は天候不順でその豆鯵が不漁だった。
あちこちの魚屋に電話をしたが、これがどこにもない。
やっと熱海の駅前の丸福という魚屋さんにあった。
急遽それを10枚ほど送ってもらった。
宮司さん以下何人かに食べてもらったのだ。
うん、これはいい。これでいこうよ、とみんなに言ってもらい、
その豆鯵を神事の直会に使ってもらうことになった。
実際の直会ではみんな見たことのない豆鯵の登場に
目を丸くしていたが、概ね好評だった。
そんな経緯を経て、今年もその豆鯵を使うことに決定。
同じ丸福に注文を出し、昨日250尾の豆鯵が届いたというわけ。
いや、これで安心した。
昨年は最初でもあって随分と心配したが今年は順調にいった。
6月ごろから丸福さんからはいい豆鯵が上がってるよと連絡が入っていたので安心していたが、届くまでは心配だった。
そのまま年番町に届けてきたが、焼き方にもちょっと工夫がいるので、何度か焼き方を研究してくれと注文してきた。
今日は榊と稲穂が届く。
いよいよ明日から祭りが始まる。
何年たっても嬉しさと緊張が入り混じる複雑な心境だ。